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事務局長の独り言 1998年における中間総括 成果と今後の課題

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コープ低公害車開発(株)のこれまでの成果と課題(1998年1月)


1998年にコープ低公害車開発株式会社の今後のあり方について検討を行いました。

1989年にコープ電動車両開発株式会社として発足、しかし、電気トラックの研究開発を進めたが、現実問題として実際に使用している生協の配達トラックとして、ディーゼルやガソリンで稼働している状況から電気トラックへの移行は大変難しいとの認識のから、より現実的に生協で働く配達する職員やパートさん、配達先の組合員さんの健康環境を改善を果たすことが何よりも優先するという立場から、神奈川県環境研究センターと共同で行ったディーゼル・ガソリン・LPガスの3種の排ガス性状や燃料効率などから一番良いと判断されたLPガスを燃料とするトラックの研究、性能向上へシフトし、定款を電気および低公害な車両研究開発とし、会社名称をコープ低公害車開発株式会社と変更した。

問題は、運用する資金が、当初、コープかながわとコープしずおかが用意したものだったが、その資金が枯渇する状況となり、「その資金調達をどうするべきか?」ということから、「継続するのか、会社を閉鎖するのか」、「継続する際は、参加している生協の資金負担はどうするのか」などを議論し、コープ低公害車の果たした成果と今後の課題などについて検討委員会を設置して議論を行いました。


この資料は、その際の事務局がまとめた活動と課題です。


今後の「コープ低公害車開発株式会社」のあり方についての提案

1998年1月10日 (土)

コープ低公害車開発株式会社のあり方検討小委員会
 座長 取締役 水野隼人〈岐阜地区市民生協理事長〉
 委員 取締役 濱口廣孝〈首都圏コープ事業連合 副理事長〉
 委員 取締役 木下長義〈コープかながわ 常勤理事〉
 委員    岡村信秀〈生協ひろしま 常務理事〉
 委員    川村拓郎〈エフコープ常務理事〉
 委員    蒲生吉夫〈ちばコープ常務理事〉

はじめに
  コープ低公害車開発(株)のあり方検討小委員会
   座長:水野隼人
   委員:木下長義・濱口廣孝・岡村信秀・川村拓郎・蒲生吉夫

 1997年6月28日に開催されました株主総会おいて、今後のコープ低公害車開発(株)のあり方について検討を加えること決定され、
 水野隼人取締役〈岐阜地区市民生協〉、木下長義取締役〈コープかながわ〉が世話人として選出されました。
 同時に、首都圏コープ事業連合、ちばコープ、生協ひろしま、エブコープ生協より委員を選出することにし、後日各生協と協議して委員を確定し、「コープ低公害車開発株式会社のあり方検討小委員合Jを発足させました。

課題
@ 「あり方検討小委員会」は会社の存続と運営のあり方について検討を加えて「答申」を出す。
A 取締役会は「答申」に基づき、98年度に向けた見解(提案)を敢りまとめる。

 私どもは、7月29日に第1回の検討会議を開催し、その後数度に渡り会議・会合を重ねてきました。会議では、この間の活動について報告や外部から見た私たちの活動について自治体や報道関係者の話を開いたりすることを含めて検討を進めてきました。
 その中で、日常的な生協の諸活動では見えてこない自動車の排出ガスに関わる行政の問題点や自動車や石油・ガスなどのメーカーの価値観やLPガススタンドなどLPGに関わる業界の存在とそこから出てくる問題点など多岐にわたって論議をしてきました。
 生協という讃費者組織に「できること」、「やらねばならないこと」、「やるべきことかどうか」についても検討を加え、「ひとつひとつの生協にできる地域的な活動の積み上げが可能なこと」、「有志生協が全国的に結集することによって可能になること」、さらには「全国的に中央組織(日本生協連)で可能になる事柄」などについても検討しました。
 また、「有志生協という組織のあり方と運営の仕方」、「より多くの生協が結集することで可能になること」、さらには、「他のユーザーや関連業界の協力なしではなし得ない事柄」などについても検討を加えました。
また、「株式会社という組識のあり方と運営の仕方」、「任意団体であることの得失」、「NPO法との関係」など事例を引きながら検討を加えました。
 このような検討を加えながら、結論を導き出しました。その結果ついて報告いたします。
 取締役会・株主生協(参加生協)におきましてはご検討いただき、ご賛同いただければ幸いでございます。

1.小委員会としての結論
(1) 果たした役割と成果を評価する立場からコープ低公害車開発(株)の継続・発展を目指します。
◎現実的な車両低害化の活動を積み上げ、行政・自治体・業界へ多大な彰響を及ぼし、生協の環境に対する取組みの面で社会的存在を高めました。
特に導入に取り組んで3年有余で73生協・組織1,283台のLPGトラックの実績は行政・自治体・他企業が認める大きな実績です。その活動の象徴としてコーブ低公害開発株式会社が認知されており、この組織を継続することはそのことに大きな意義があります。
一方、大気汚染は一向に改善の兆しを見せません。引き続き、一貫した働きかけが必要です。
今後とも活動の継続と新たな運動の績み上げを行なっていくことが求められています。
(2) 現実的存在する課題の解決を図る立場から研究・開発活動の充実を図り、普及啓発・情報収集発信の活動を強めます。
◎ LPG自動車の技術改良の余地は多く存在します。しかし、技術力の向上に加えて法的規制緩和などの処置が必要な分野も有ります。引き続き、生協や他企業、自治体などでの普及活動を通じて課題を解決していくことが求められています。
車種拡大充実、スタンド整備、価格問題などの条件整備を進めていくことも必要です。
燃料供給スタンドは全国に2,000ヶ所弱と整備されていますが、普及を進めるには不足です。
地元石油スタンドと協力してエコステーションでLPGスタンドの増設や自前スタンドの設置などを進めることも必要です。価格問題と共に地元での話し合いを積み上げ、LPG自動車普及の条件整備を進めるためにも、参加生協の努力とコープ低公害車開発株式会社での具体的な対応が必要です。
(3) 存続と発展を必要と考える立場から参加生協の主体的運営による事業の発震を目指します。
◎ 有志生協の自主的な活動として積み上げた実績を大切にし、課題を解決するためにコープ低公害車開発(株)の活動を一層発展させ、参加生協の主体性を発揮した運営を構築築しましょう。
全国の74生協・組織が3年半で積み上げた1,264台は、到達点ではなく出発点です。
行政・自治体・業界と話し合う資格が整ったものと考えます。
今後、全国のより多くの生協が主体的に運営でき、それぞれの地域において生協のポジションをつくることが求められています。そのためにも参加する生協が主体的に運営できる組織として構築していくことが求められている。

次頁以下、上記3境問について、具体的に提案をします。

2.課題を解決するための具体的な提案

(1) 組織の継続と発展→コープ低公害車開発株式会社の儲阪漉認と強化

@ 各生協の活動・運動として求められる課題 〜 生協の運動としての取組み
a. 運動としての車両の低害化
参加生協においては、環境監査活動を確立し、その中で、大気汚染測定活動(NO2測定活動)・環境家計簿活動(省エネルギー、CO2削減)と連動して、「車両の低害化の活動」(プロジェクト的取組みなど)を確立し、運動として高め、組合員の活動と事業の連動で車両の低害化を推進していくことが求められています。
* この分野は各生協および日本生協連の活動分野です。
* コープ低公害車開発株式会社は、車両低害化を実現するための専門的ポジションであり、その立場から?情報誌紙の発行、?参加生協による運営会議や担当者会議などの交流の場を積み上げます。
b. 社会的ポジショニングを確立する活動
参加生協においては、地域社会の中で、安全安心な生活の提案と併せて、自然との共生、循環型社会生活の推進者としての生協運動が期待されていると考えます。
みずからが大気汚染の加害者の一人として、事業や生活の中で使用している車両の低害化を積極的に実現していくことは結果として社会の中での生協の役割を果たし、存在として認知されていくものと考えます。
生協の配達現場など職場環境改善の立場から、排ガスがよりクリーンな(NOxが少なく、黒煙・浮遊粒子状物質が出ない、悪臭が出ない、騒音振動がより少ない)LPG車導入など車両の低害化を進めることは生協の環境に配慮する姿勢として評価されています。、
環境庁の指標を先取りしているLPGトラックを導入したことに自信を持ち、各地域・自治体と共同し、社会的評価を一層確立していくことが大切です。

A 参加生協の活動の集約的組織の一つであるコープ低公害車開発(株)に求められるもの―組織機能
a. ユーザーによる車両低害化の実践組織(NGO)としては国内・国際的にも唯一の法人組織と
して中央行政、業界団体との折衝窓口の機能
コープ低公害車開発株式会社はユーザーが自分達の組織が使う車両の低害化を目的として創った会社組識であり、世界的、国内的にも唯一の法人組織(株式会社)であることを確認し、私たち生協組織が守り育てていくことが今こそ求められています。
車両の実質的な低害化に向けての要望を集約し、環境庁・運輸省・通産省・資源エネルギー庁など中央行政およびメーカーなどの全国組織、本社などと種々の課題についての改善策を要請します。
b. 全国の有志生協の活動に対するサポート機能
参加生協における「車両低害化の取組み」(プロジェクト的取組みなど)から出てくる様々な情報を集約し、また、要求に対して応えていくことのできるサポート機能を充実していくことが求められています。
内容としては、他生協の具体的な活動紹介や技術情報、国・自治体などの低害化に向けて政策紹介や解説などを適切に伝えていくことが必要です。

B 参加生協の経費負担の考え方と当面の改善策
a. 会社運営費用
会社運営費用は、参加生協の経費負担と事業・広告収入等で賄うことが適当と考えます。
経費の支出については可能な限りの経費節減に努め、かつ、多くの生協が参加できる会社の形態(会社の所在など)を整えることが必要です。

b.経費負担割合
経費は参加生協で負担し、基本は平等分担とするようにし、経過処置として歴史的経過を勘案し設定し、3年程度で調整を図ることが望ましいと考えます。
また、生協の事業レベル (共同購入事業等の事業高)による経費負担割合の差など調整が必要です。

c.株式所有割合
参加生協は株式は3株所有を原則とし、歴史的経過を尊重することが望ましい。

d.参加形態
生協の規模により、参加の方法や経費負担の割合に工夫を行い、より多くの生協が多様な参加ができるよう検討することが必要です。
同時に、コープ低公害車開発(株)の趣旨に賛同し、車両の低害化を目指す企業個人の参加ができる方法を検討することも必要です。

【検討小委員会の開催と議題】

●6月28日(土)第6期株主総会・「コープ低公害車開発株式会社あり方小委員会」の設置
委員 水野隼人(岐車地区市民生協)・木下長義(コープかながわ)・
漬口康孝(首都圏コープ事業連合)・岡村信秀(生協ひろしま)・
川村拓郎(エフコープ)・蒲生吉夫(ちばコープ)の7名

●第1回目 7月29日(13:00〜16:00 コープかながわ会議室)
出席:水野・漬口・木下・岡村(代理 林) 4名
議題:事務局より経過報告

行政から見たコープ低公害車開発株式会社の活動
  川|崎市環境部 副主幹 丸山 學 氏
●第2回目8月30日は)(16:00〜19:00 コープかながわ会議室)
出席:水野・演口・木下・岡村・川村・蒲生
議題:報道機関から見たコープ低公害車開発株式会社の活動
  日刊自動車新聞社 編集局第2部長 青山信一 氏
  コープニュース代表取締役 斉藤一志 氏
  議論「歴史的に果たしたことと今後の課題」

●第3回目10月5日〈日)(9:00〜12:00 東京丸の内ホテル会議室)
出席:水野・漬口・木下・岡村・川村・蒲生
議題:何が課題か

●10月17日(金)(10:00〜16:00 東京大手町JAビル国際会議室)
生協におけるLPGトラック導入1000台突破記念「車両低害化推進のためのシンポジウム」
参加:水野・濱口・木下・蒲生

●10月17日(金)(12:2 0〜1 3 :0 0 同会場〉
議題:馬場昭夫コープかながわ理事長と懇談
   (コープ低公害車開発(株)に対する考え方について)
出席:水野・濱口・木下・蒲生

●10月17日(金)(16:00〜17:30  JAビル全農会議室)
議題:中野邦夫日本生協連環境事業推進室長と懇談(同氏はシポジウムの講師)
   (全国連としての立場と車両の低害化に関する意見交換)
出席:水野・漬口・木下・蒲生

●10月17日(金)(17:40〜1 9:00)
懇談:水野・漬口・木下・蒲生

●第4回目11月1日は)(19:00〜22:00 東京八重洲ターミナルホテル会議室)
出席:水野・漬口・木下・岡村・蒲生
議題:具体的運営方法について

●第5回目11月29日(土)(13:00〜16:00 コープかながわ会議室)
出席:水野・濱口・木下・岡村・蒲生・川村
議題:具体的な進め方について

●第6回目1998年1月10日(土)(15:00〜18:00 首都圏コープ事業連合・本部会議室)
出席:水野・漬口・木下・岡村・蒲生・川村
議題:まとめ

あとがき        座長 水 野 隼 人

【コープ低公害車開発株式会社の活動から】

 私は、今回の「あり方検討」を通じて、行政・自治体、自動車メーカー、及び燃料供給事業などへ私たち生協のLPGトラックの普及活動が及ぼした影響の大きさをあらためて感じました。
 10月17日に東京のJAビルで開催した「シンポジウム」への参加者の状況の状況(参加者201名―自治体9名、ガス関係48名、自動車関係30名、研究所8名、企業・団体18名、一般・学識経験者6名、生協関係40名、その他22名、報道関係20名)からもこれらのことが読み取れました。
また、シンポジウムを開催するに当たり、環境庁と通産省資源エネルギー庁の講演をお願いしましたが、生協のつくった株式会社という先例のない事例でしたが、この間の活動が評価され、講演を得ることができました。
 1989年から始まった電気トラックの研究開発の活動を通じて、全国の有志生協によるコープ電動車両開発株式会社会が設立されました。その後の実務担当者会議の設置と活動の結果として「現実的な低公害車であるLPGトラック」の開発普及に取り組み、社名もコープ低公害車開発株式会社と改称し今日に至っています。
 LPGトラックが、1994年7月に、第1号車がえひめコープに納車されて丸3年で1,000台を超え、現在、73生協・組織で1,283台(1998年1月現在)となっています。
 このような過去の成果を大切にして、今後の課題について検討を加えました。

【コープ低公害車開発株式会社の役割について】

 LPGトラックに転換し、トヨタ自動車とLPGトラックを開発した時点でコープ低公害車開発株式会社の役割は終わったという意見もあること構まえ、低公害車をめぐる状況や技術的側面にまで踏み込んで検討を加えました。
 現在、規制緩和があらゆる分野で進んでいます。規制緩和の是非について種々議論のあるところですが、ことLPGトラックの普及と改良については、この規制緩和が重要なポイントであることを知りました。
 ガソリン(ガソリン車の燃料)や軽油(ディーゼル車の燃料)では当たり前になっている燃料に圧力を加えることが、LPGでは「高圧ガス保按法」で規制されていることなどが今後のLPG自動車の改良にとって障害になっています。
 現在、このような課題について通商産業省環境立地局保安課で検討が進んでいますが、コープ低公害車開発株式会社の活動から規制緩和に関する検討会議に参加するなどの状況が生まれています。1998年3月24日からLPG自動車の燃料ボンベの検査期間が4年から6年に2年延長されることになりました。このような活動が実ってきた結果です。更に、燃料に圧力を加える課題では、1998年4月を目途に規制緩和の一環として改善される見通しです。
 これも、1993年から始まがったトヨタ自動車とのLPGトラックの開発普及の活動が、その後、三菱自動車工業(株)、マツダ(株)、いすゞ自動車(株)、さらには、日野自動車工業(株)のLPGトラックへの参入という実績に裏打ちされているわけです。
こうした活動が、自治体でのLPGゴミ回収車の導入につながり、くろねこヤマト運輸での積極的なLPGトラックの導入というように着実に積みあがってきています。
 しかし、ガソリン車やディーゼル車、さらには、電気自動車や天然ガス車、ハイブリッド車などの改善が進む中で、実用的な低公害車であるLPGトラックは改善改良がこのような高圧ガス保安法による規制のもとで遅れたものになっています。
 これは既にタクシーを中心にして40年の歴史を持ち、スタンドも全国に2,000弱が存在し、バルブやボンベ、スタンドなどに関わって既成の業界が出来上がっていることが、業界擁護の体質を生み出し、結果として、そのことがLPG自動車の発展やLPGスタンドの増設を阻んできたものです。
 このような中で、既存の業界とは異なる生協というユーザー組識が、「環境」を切り口として力を結集し、普及活動を進めてきたことが、結果として8年間で1,000台という実績に結びつき、業界を変え、行政・自治体に着実に影響を与えてきたものと考えることが出来ます。

 具体的には環境庁の低公害車普及策の中に当初の計画とは異なり、LPG車が不十分ながら位置づくようになってきました。
 また、神奈川県に1997年11月から設置された「神奈川県生活環境の保全に関する条例」の中で低公害車の普及政策について触れていますが、これも生協におけるLPGトラックの開発と普及の活動が現実性のある方策として評価された結果です。
 他の自治体でも具体的にLPG車を評価する動きが顕著になってきています。
 今後、私たちが取り組んできた車両の低害化の一層の促進を果たしていくためにも、日本のみならず世界的にも他に例を見ない「ユ一ザー組織である生活協同組合が創設したコープ低公害車開発(株)」という「NGO」の役割と課題はますます重要かつ明確になってきていると考えるものです。

【この間の大気汚染測定諸動と生協の全般的な事業との連動について】

 この間進めてきました窒素酸化物(N0x) 測定活動の測定結果を見ますと、大気汚染に対する改善は見られず、ますます汚染が進行している状況です。しかも、この間指摘されてきたデイーゼル自動車の改善策は、それなりに進んでいますが、自動車に占める割合は増加の一途をたどり、汚染に拍車をかけています。
 このような状況を改善するために私たちが行ってきたLPGトラックの普及策は極めて小さな行為としか言えないものです。しかし、LPGトラックに転換し、その比率を増加している生協の共同購入センターでの「作業環境」は確実に改善が図られてきています。私たちにできることを確実に一歩一歩進めていくことが求められています。

【今後の課題について】

 今後の課題としては、生協組織においてさらに多くのLPGトラックを導入していくことが求められています。行政が掲げている「2000年までに官公庁の所有車両の10%を低公害車に」という目標を生協は共同購入に限って言えば、1998年4月には達成できる見通しです。
 しかし、全体の導入台数の比率は年間の買い替えの20〜25%程度です。今後、具体的には、全体の50%(約7,000台)以上の転換を目標におき、そのための環境の整備を進めていくことが今後の大きな課題になるものと考えました。
 例えば、「LPG車の車種の拡大、性能の向上、燃費の改善、燃料価格の適性化、スタンドの整備、自営スタンド建設、ノウハウの蓄積」等々の課題です。
 また、そのために必要な方策を講じていくなど今後ますます自動車メーカーや燃料インフラ、関係行政との調整などを進めていくことが求められています。
 参加している各生協において、「環境監査制度」の充実と併せて、生協の業務で使用するものや役職員や組合員の使用する車両などの低害化を課題に据えて、各地元で活動を進めていく場合、地元自治体、流通業者、ディーラー、関係諸団体などと話し合しや共同活動を進めていくための母体として生協ごとの推進組識として車両担当、管理担当、環境担当、組合員活動推進担当などの共同の場として、コープ低公害車開発株式会社の地方(生協)支社としての機能の可能性などについて検討を加えました。
 また、これらの活動を支えていくための「支援センター」としてのコープ低公害車開発株式会社の存在と意味合いがあると考えるものですが、同時に、将来の状況を見据え、日本生協連の場での全国連帯活動として進めていく可能性などについても話し合っていくことについても検討しました。

【コープ低公害車開発株式会社をの発展的継続へ】

 以上から、コープ低公害車開発株式会社の存続を積極的に推進し、かつ、新たな参加生協を拡大していくことの意味合いとそれを支える効率的・効果的運営のあり方についても検討を進めていく必要を感じています。
 「あり方検討小委員会」の報告の結論としては、地球環境への関心の高まりとともに、一層、私たちの身の回り、職場の労働環境などに気を配った活動が求められているということです。
 組合員の求めている環境に配慮した生協の事業活動をより発展させていく一助として、車両の低害化の課題は大きく存在していると考えます。

 最後に、全国の生活協同組合の一層の発展を祈念し、コープ低公害車開発株式会社の活動を支援していただいている関係各位に深く感謝申し上げる次第です。

1998年1月10日

資料


出発点 1989年1月 車両の排ガス公害の改善を目指す。

(コープかながわ 理事会)


第1次展開 電気トラックの研究・開発と普及の活動

1989年4月 特別担当を配置し、調査→「メタノールか?」「電気か?」→電気を選択


1989年9月 コープかながわ 理事長の諮問委員会としてCOOP・EV技術検討委員会を設置

↓諮問↑答申

COOP・EV技術検討委員会(座長:飯山雄次 千葉工業大学・教授)

第1次試作車の仕様を決定し、メーカー交渉→いすゞ自動車(株)に決定


1990年   発注→製作(米国・ソレック社 大場社長)→完成(12月)

5月発起人会・6月設立総会・7月2日コープ電動車両開発 創立日

目的 1. 電気自動車の製造及び管理

2. 電気自動車の製造に必要な調査、研究、開発

3. 電気自動車の運用に必要な充電、補修、管理機器・設備の研究、開発

4. 電気自動車の運用に必要な運行、管理、保全のためのシステム、マニュアルの調査、

研究、企画、開発

5. 電気自動車の運用のための事業コストの調査、研究

6. 電気自動車及び低公害車の斡旋及び販売

7. 電気自動車の運用に必要な充電、補修、管理機器・設備の斡旋及び販売

8. 電気自動車の運用に必要な運行、管理、保全のためのシステム、マニュアルの斡旋及

び販売

9. 前各号に付帯または関連する一切の事業

1991年     第1次試作車(1号車、2号車)完成 29 東京モーターショー出展

1992年     第2次試作車 (1号車)完成

1993年     第2次試作車実用走行車 (2台) 東都生協・首都圏コープ事業連合へ納車

東京都から半額助成

         第3次試作車完成 30th 東京モーターショーに出展

1994年    第3次試作車実用走行車 (1台) コープとうきょうへ納車

東京都から半額助成


第2次展開 担当者会議の設置とLPGトラックの研究・開発・普及の活動

1992年     生協 EV検討実務担当者会議設置 (7月) 92年3回開催 (通算3回)

生協 EV検討実務担当者会議 9月第2回でトヨタから LPGの打診

1993年      1月トヨタ自動車(株)とモニター車の製作交渉

9月 LPG トラック開発についてマスコミ発表

11月?94年4月 モニター車完成・全国25ヶ所で試乗・展示・発表会

生協 EV検討実務担当者会議   1993年4回開催 (通算7回)

1994年      5月株主総会で定款変更・社名変更、6月コープ低公害車開発鰍ニ名称変更

目的 1. 電気自動車及び低公害車等に関する調査研究・開発・斡旋及び販売

2. 前各号に付帯する又は関連する一切の事業

6月 LPG トラック生産開始 7月4日第1号車「コープえひめ」に納車

生協 EV検討実務担当者会議      1994年4回開催(通算11回)

1995年     供給開始より1年で350台達成

三菱自動車工業梶j 開発に参加

生協 EV検討実務担当者会議      1995年3回開催(通算14回)

8th 世界 LPG フォーラムにトヨタ自動車鰍ニ合同で発表

12月 三菱自動車工業 LPGトラック キャンペーンに出発

1996年     マツダ(株) 開発に参加

供給開始より2年で600台達成

5月 マツダ LPGトラック キャンペーンに出発

9月生協におけるLPGトラック導入 600台突破記念

「大気汚染防止と自動車排出ガス等に関するシンポジウム」を開催

「環境担当理事職員交流会」を開催

生協 EV検討実務担当者会議      1996年3回開催(通算17回)

1997年      2月生協大気汚染等検討交流会 (コープかながわと共催)

いすゞ自動車滑J発に参加

供給開始より3年で1000台達成

10月 「車両低害化のためのシンポジウム」を開催

生協 EV検討実務担当者会議      1997年3回開催 (通算20回)

11月 いすゞLPGトラックキャンペーンに出発

12月 トヨタ 4WDLPGトラック 11台納車

1998年     1月現在 74生協・組織 1264台

6月5日 コープ低公害車開発、環境庁の「地域環境保全功労者」に選ばれた。

1999年   6月現在 74生協・組織 2000台


注)

コープ低公害車開発は2006年3月の会社閉鎖までに、累計(廃車も含めて)で7000台以上、生協の現有車両数としては配送車両の35%(5500台)をLPガストラックに転換。


運営問題 発足と主要課題、その後の展開

1989年    有志生協のプロジェクトとして発足

1990年5月   発起人会 6月 設立総会 7月2日創立日

参加生協とコープ低公害車開発(株)は

1994年3月20日までの「委託開発契約(下記スケジュール)」を締結

1991年 第1次試作車完成(予定)   1992年  第2次試作車完成(予定)

1993年 第3次試作車完成(予定)   1994年 1994年 実用走行開始

1992年    第3回取締役会 電気トラックの実用時期を1997年に修正(5ヶ年計画策定)

生協EV検討実務担当者会議で「生協の共同購入用トラックの低害化検討および

今後の取組みについて」をまとめ、報告

* 基本スタンスの確認

COOP・EV の役割は、 ユーザー組織としての「貝初参加生協」が使うことのできる電気トラックを実現することである。

そのためのコーディネーター、オルガナイザーの役割を担っている。

作ることを目的化するのではなく、

いかに早く使うことができるかを実現することである。

* 電気トラックの位置付け

電池性能等の将来の改良開発を受けても、従来車との置き換えは困難。

配送手段、使用目的を勘案して決めることが必要。

* 車両の低害化の取組み

当面の対策案として、ディーゼルの副室式への転換、LPG車の可能性の追求

1993年 LPGトラックを含む低公害化への検討開始を確認

1994年3月20日までの「EV委託開発契約」の期限切れを前提に、

1994年3月21日以降のあり方について検討を行った。


* コープ電動車両開発(株)の機能の選択


COOP・EV →→変更なし→ すべて現行のまま

        →→継続→ 再募集

      →↑→→定款変更→ 現行のまま参加

       ↓→→再募集

        →→継続→→→再組織→ 再組織、新たな組織つくり

      →→非継続→→→完全閉鎖→ 完全に清算


1994年 Aを選択し、定款 会社名称を変更した。


前受け金の残余にゆとりがあり、運営を現行のまま継続し、再募集は行わなかった。

LPGトラックの本格導入を開始した。

11月臨時株主総会において、第1次3ヶ年計画 (95・96・97) を決定し、運営方法については、会員生協による会費および事業収入・事業外収入によるとした。会費については、95年に決定することとした。


1995年 3ヶ年計画を承認し、95年度計画を決定した。

1995年度中に運営方針、計画および会費制における開発契約等を確定することを決定。

前受け金の残余にゆとりがあるので、運営を現行のまま継続する。


1996年 1月臨時株主総会において、前受け金の残余にゆとりがあるので、運営を現行のまま継続をした。併せて、1997年度の期中には前受け金が枯渇するので、1996年度中に運営形態および会費制への移行に 検討を加えることを決定した。

株主総会において、第1次3ヶ年計画に基づいて、1996年度事業計画を決定し、併せて、第2次3ヶ年計画(会費の算出基準)を提起し、具体的な検討を開始することを決定した。

第2回取締役会において、第2次3ヶ年計画(会費の算出基準)に役割の確認と活動の方向について検討を加え、会費の算出について検討を加えた。

しかし、 参加取締役およびオブザーバーの大勢が現状の経費分担方法から会費制への移行について、各生協において、検討しにくい状況であることを発言し、特に、中心生協であるコープかながわでの対応について明確にして欲しい旨の意向を表明した。

12月の第3回取締役会に合わせて、コープかながわ理事会は「COOP・EV」のあり方と関わり方について検討し、 対応策を決定した。


→評価:果たしてきた役割を積極的に評価する。

それに対応して、コープかながわとして環境部門への強化を図る。

運営:参加生協の意向に合わせ、 どのようなポジションも受け入れる。


1997年3月 (第4回)、5月(第5回)、6月 (第6回)の取締役会の検討を受けて、株主総会で、1997年度の運営は従来の方法を継続し、経費は前年度を上回らない負担で参加生協に振り替えることで、そのことを了承する生協において運営を継続することとした。

また、今後のあり方について検討をくわえるために、水野隼人取締役を座長として、「コープ低公害車開発鰍フあり方検討小委員会」を発足させ、1997年12月までに方向を策定することを決定した。


到達点と評価

電気トラックの開発を行うというユーザー組織 (生協)として国際的、国内的にも例を見ない「組織=株式会社(法人)」を設立し、経費を分担し、運営を実質的には1989年より8年間にわたり運営してきた。

*行政やマスコミなど生協外の組織から見た評価

この間、電気トラックをいすゞ自動車鰍ニ提携し、 第3次試作車まで完成し、 東京都内の3生協に供給し、東京都から半額助成を受けた。このような活動を通じて、従来とは異なった次元で中央官庁・自治体との接点が生まれた。

また、電気トラックの検討を通じて、LPGトラックへの発展し、メーカーとの交渉を実現させ、モニター車の製作とデモ、本格的生産と普及 (3年間で1000台)を達成した。


注)

コープ低公害車開発は2006年3月の会社閉鎖までに、累計(廃車も含めて)で7000台以上、生協の現有車両数としては配送車両の35%(5500台)をLPガストラックに転換。


この活動を通じて、「担当者会議」を設置し、実務的な検討を踏まえて、メーカーやインフラ、 燃料メーカー、行政との接点が広まり、同時に深まった。

コープ低公害車開発(株)として、1996年にシンポジウムを開催し、200名を超える参加を得た。

このような活動をベースに、通商産業省に対して、 LPG自動車に関する要請を行い、審議に加わり、燃料ボンベの2年間の期間延長を得ることができた。

また、環境庁の低公害車の対象車に入っていなかったものを、実質的な低公害車として認めさせ、社会的評価を高めた。

1996年度は、神奈川県 「地球環境賞」を受賞した。

1998年度は、環 境 庁 「地域環境保全功労者」を受賞した。(神奈川県の推薦)


* 生協内部からみた評価

職員の立場から見た場合、具体的な環境への取組みとして、また、自分達の作業場環境の改善としての課題が見えるようになってきた。

環境監査制度をあいまって具体的に評価される活動となっている。


* 組合員からみた評価

現実は、多くの組合員の十分な理解と評価を得る状況になっていないが、理事会や環境活動の組合員との関係で言えば、十分な評価を得る実績となってきている。

今後、理解を深める活動を行っていくことにより、付随的な活動の可能性が増加する可能性がある。