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■ 生協の飼料用米普及活動




2016年8月20日

 このページでは、全国の生活協同組合の皆さんが進めている「飼料用米の普及活動」を紹介します。


 日生協(日本生活協同組合連合会、日本生協連)は1993年から実施している「全国生協産直調査」の中で、2012年度の飼料米の生産支援全国調査を本格実施しました。
 その結果、2009 年度では全国の飼料米作付面積の65%を生協が提携している生産者が占有していたことがわかりました。
 2011年度では生産支援面積が4,599haに倍増し、生協による飼料米生産支援が全国の飼料米作付け増加のけん引役を果たしてきたことが明らかになりました。
 2012年度の飼料米作付け支援面積は前年比169%増の7,717haに伸長(作付け占有率は23%)。 給餌蓄種は鶏卵51%、 豚肉24%、食鶏・肉牛2%搾乳牛1%でした。
 給餌方法では鶏卵で籾米が多いことがわかりました。
 豚食鶏では玄米が多数であることもわかりました。
 今後の飼料用米の更なる普及拡大を目指す場合、生産・物流・保管コストの削減などを考えるとき、様々な改善の余地があることがわかりました。
 飼料米の生産と利用を広げていく上で消費者と生産者の連携が重要な役割を果 たし、飼料米育ち畜産品の利用と普及が遊休水田の有効活用につながり、その結果として食料自給率向上と地球温暖化に影響を与える炭酸ガス(CO) 削減に寄与 することが期待されます。
 地域経済振興への貢献も大きく、「耕畜消:耕作者・畜産事業者・消費者」の連携ネットワーク形成に生協が積極的に貢献して 行く活動が今後とも強く要請されていることがわかります。

飼料用米を活かす日本型循環畜産推進交流集会

日時:2013 年3 月23 日(土) 午前11 時〜午後5 時半
会場:東京大学 弥生講堂・一条ホール 東京都文京区弥生1-1-1 東京大学弥生キャンパス内
主催:超多収穫米普及連絡会
協賛:日本生活協同組合連合会 ・ パルシステム生活協同組合連合会・ 東都生活協同組合・
   生活クラブ事業連合生活協同組合連合会 ・日本鶏卵生産者協会 ・ (社)日本草地畜産種子協会

生協における飼料用米の取組みについて

日本生活協同組合連合会 会員支援本部産直グループ 内山 和夫


消費者の「自給」への関心の高まり

 生協は従来から米の利用推進を柱のひとつとして、国産農産物の供給拡大を目指してきま した。最近では、米の新規需要としての「米粉」の活用や、水田を活用した転作作物の商品 化、さらに、飼料自給に向けた飼料用米、飼料用稲活用の取組みも各地で本格化しています。
 現在の日本の畜産が輸入トウモロコシに大きく依存していることは、食料自給率を引き下 げている最大の要因であるとともに、水田をはじめとする国内農地を有効に活用できない要 因でもあります。
 水田と米を活用して飼料自給をめざす試みは、食料自給率を高め、水田を有効に活用する というふたつの意味で注目すべき取組みです。
 この取組みが日本において普及定着すれば、畜産部門の振興や穀物自給率の向上に寄与するだけでなく、耕作放棄地の解消など農地の有効利用と水田の持つ多面的機能を通して環境保全にもつながります。

飼料用米・飼料用稲の取組み実態調査

 日本生協連・産直事業委員会は、1983年から4 年に1回の割合で「全国生協産直調査」を 進めていますが、2011年度に実施した第8 回の調査で、はじめて飼料用米・飼料用稲に関す る実態調査をしました。(2010年度の飼料用米・飼料用稲の使用実態)
 その結果、2009年の水田作付けベースで、日本全体で4,129 ヘクタール分の飼料用米の耕 作面積のうち、65%に相当する2,674ヘクタール分が生協の「米ぶた」、「米たまご」に使わ れたことが分かりました。
 2012年2 月にも、超多収穫米普及連絡会と合同で生協の飼料用米・飼料用稲の使用実態調査を行い生協が2011年度に飼料用米に関わった面積は、前年比223%の4,599ヘクタールに上りました。
 全国的に飼料用米・飼料用稲の取組みが広がるなかで、全国シェアは31%に低下したもの の、生協は依然としてこの取組みを拡大させ、地域のなかで推進役を担っていると言えます。
 こうしたことを踏まえて、日本生協連・産直事業委員会は当面の間、独自に飼料用米・飼料 用稲の使用実態調査を継続することにしました。

飼料用米・飼料用稲の取組み経過

 2008 年以降、生協における飼料用米・飼料用稲の取組みは、政策的支援(補助金)の強化 が後押ししたこともあり、飛躍的な前進がありましたが、それ以前からも先駆的にチャレン ジし、飼料用米・飼料用稲の取組みをリードしてきた事例があります。
 飼料用米を使った「米ぶた」については、生活クラブ事業連合とJA庄内みどり及び平田 牧場による先駆的に取り組まれました。
 2004 年には遊佐町、全農庄内本部、NPO法人が加わり、更に山形大学や山形県もアドバイサーとして巻き込んだ「飼料用米プロジェクト」を 発足させて事業と活動を推進してきた経緯があります。
 飼料用稲では、鳥取県畜産農協と京都生協による肥育牛への飼料用稲の給与の取組みがあります。
 2000 年から開始されたこのプロジェクトは、「100 年先も継続できる畜産」の実現を意識して、水田で飼料用の稲を栽培し、飼料自給向上を図ってきました。
 今では、鳥取県畜 産農協の飼料用米作付面積は1,000 ヘクタールに達しています。
 近年は他の多くの生協でも実践が開始されています。
 もっとも多い取組みは「米たまご」 で、コープさっぽろ・コープネット・パルシステム・ユーコープ・東都生協・コープあいち・ コープしが・京都生協・コープこうべなど各地の生協に急速に広がっています。
  「米ぶた」ではコープネット事業連合の「お米育ち豚」、パルシステムの「日本の米ぶた」、おかやまコープの「コープおかやま豚」などが代表的な取組みですが、従来の産直豚用飼料 に飼料用米を配合するケースもかなり広がっています(みやぎ生協・ユーコープ事業連合・エフコープなど)。
 コープさっぽろでは飼料用米を給与した畜産物を「黄金(こがね)そだち」としてシリー ズ開発していますが、「黄金そだち 別海牛乳」は組合員にすっきりした飲みやすい牛乳であ ると大変好評を得ています。

飼料用米推進の連携ネットワーク

 ここ数年、大きな実践的前進があったとはいえ、飼料用米や飼料用稲を活用していくこと には関係者にとってそれぞれ一定のリスクがあります。飼料用米、飼料用稲を通じて食料自 給を高め、大切な資源である水田を活用し、保全していくことを共通の理念として、耕畜それぞれの生産者や生産者団体・飼料メーカー・食肉事業者・行政・大学や地域NPOとも連 携しながらネットワークを更にひろげていくことが益々必要になっています。
 今後も多くの生協は、地域のなかでこの取組みのコーディネーターとしての役割を期待されていると思われます。飼料用米生産者が主食用米の産直の提携相手である場合には、米の取引での信頼関係がベースにあり、その上に飼料用米の生産と活用が円滑に進んでいくメリ ットがみられます。
 以下は、飼料用米に関する協議会の代表的な事例です。

生協名
協議会の名称
コープさっぽろ 新規需要米協議会
コープネット事業連合 飼料用米生産流通協議会
パルシステム生協連合会 秋田県ポークランドこめ豚協議会
生活クラブ事業連合 食料自給力向上モデル飼料用米事業推進会議
コープあいち、東海コープ事業連合 コープあいち飼料用米活用推進委員会
コープしが 滋賀県飼料米利活用推進協議会
京都生協 飼料米推進協議会(京都府内4 箇所)

飼料用米・飼料用稲の課題

 稲作農家の経営からみれば、トンあたり3〜4 万円となっている飼料用米を生産することは、現時点では国の補助金がなければ成立しないものでもあります。
 この取組みが持続可能なものであるためには、政策的支援(補助金)が不可欠ですが、現在のような10a(1 反)あたり8 万円が長期にわたり継続するという訳には行かない可能性 があります。
 そうしたことも考慮のうえ、品種改良や栽培技術等による飼料用米の生産費コ スト削減や飼料米流通コストの削減などの課題にも関係者全体で取り組んでいく必要があるものと思われます。
 飼料用の米・稲の取組みの特徴のひとつは、それを支えるネットワークのひろがりにあり ます。
 前述した飼料用米生産者・飼料メーカー・畜産事業者・食肉事業者、行政等々の有機 的なつながり無しにこの取組みを成功させることはできません。
 フードチェーンの最も川下 側に位置する生協がコーディネート機能を担い、稲作農家と畜産生産者と生協組合員の新し い関係を形成することが求められます。
 先駆的な事例で共通しているのは、耕作放棄が進む現状に対し、自分たちが身近に感じて いる風景を守りたいという生産者・消費者共通の思いがあります。
 飼料用米・飼料用稲の取 組みはその有効な手段であることに気づいた消費者のなかには、農業の多面的な価値や、政策的な支援の必要性も自ら学び、考えている人も少なくありません。
 飼料用米・飼料用稲を 使った商品を通して産地や生産に関わった人を思い、つながっていく。こういった広がりを いかに作っていくかが、私たち生協の課題です。


【京都生協】 組合員自身による『さくら こめたまご』の宣伝普及活動



資料

生協の飼料米生産支援全国調査報告
  日本生活協同組合連合会会員支援本部 内山和夫 氏 報告資料@.pdf 報告資料.pdf


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