一般社団法人日本飼料用米振興協会

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開催案内

第4回(通算第11回)
飼料用米を活かす
日本型循環畜産推進交流集会


多収量日本一・畜産物ブランド日本一表彰式、飼料用米普及のためのシンポジウム2018
は2018年3月9日に開催します。

主催
一般社団法人 日本飼料用米振興協会
後援
農林水産省

開催会場
東京大学 弥生講堂(一条ホール)

開催日時
2018年3月9日(金)
 10;30 開館
 11:00 開会 〜16:45 閉会

案内パンフレット/参加申込書
案内書のページ GO
案内書パンフレットPDF ダウンロード
参加申込書のページ GO
参加申込書(PDF)のダウンロード
参加申込書(WORD)のダウンロード
参加申込書(Old Word)のダウンロード

参加申込専用アドレス
sympo20180309@j-fra.or.jp

お問い合わせ、ご意見は下記のメールアドレスにお願いします。

postmaster@j-fra.or.jp

開館 10:30
開会 11:00〜12:00
シンポジウム(第一部)
12:00〜13:00
展示・試食会、休憩
13:00〜14:10
多収日本一表彰式

畜産物ブランド日本一表彰式
14:10〜14:30
休憩(舞台転換
14:30〜16:30
シンポジウム(第二部)
16:30〜16:45
閉会の挨拶、お知らせ

17:30〜19:00
意見/情報交換懇親会
(希望者有料 3,500円)
会場:東京大学消費生活協同組合
              農学部食堂
建物:農学3号館 地下食堂

参考

今年度の飼料用米他州日本一表彰事業は、一般社団法人と農林水産省の共同開催で運営しています。
2017年5月1日〜6月30日の日程で、参加生産者の公募を行いました。

実績を2018年1月末までに集約し、2月中旬の審査委員会で受賞者を決定します。

今年度より農林水産省の助成事業で一般社団法人日本養豚協会が主催し、農林水産省が後援をします「畜産物ばうランド日本一表彰式」と共同で運営します。


参加募集は、今年(平成29年5月1日から
行います。


◆秋川牧園



飼料用米 産地視察(生産・保管・流通・利用)
9月25日〜27日の館、理事会メンバーで産地視察を行いました。

訪問先
25日(火) 大分県 鈴木養鶏場
26日(水) 午前 福岡県 緑の農園「平飼の卵:つまんでご卵(らん)」
       午後 福岡県 JA北九州くみあい飼料
27日(木) 午前・午後 山口県 秋川牧園/農家(海地博志さん)

資料:秋川牧園  戻り
  秋川牧園 プレゼンテーション資料(配布) GO
  秋川牧園 秋川実会長 プレゼンテーション資料(配布) GO
  あきかわさんの夏だより 2018・SUMMER GO
  秋川牧園ネットワークチーム GO
       ホームページ http://www.akikawabokuen.com/
 
 

 

 
秋川牧園 本社前で記念撮影。   豊かに実る飼料用米(北陸193号)
前列 秋川会長(前列真ん中)   の田んぼで記念撮影
秋川社長(会長の左となり)    海地さん(前列右端)と記念撮影。   

 
平成29年度飼料用米多収日本一
地域平均単収日本一・農林水産大臣賞を受賞した海地博志さん(左)と秋川牧園の秋川正社長(右)


 今後も米余りが深刻となる中、日本の農地を守り、 故郷を守るのは飼料米なくしては、考えられない。
 飼料用米について、農家がそれを仕方なく作るのではなく、元気に楽しく、前向きに作れる環境が大事であり、 そしてそれに真剣に取り組む農家が地域の担い手として 讃えられる関係が大切である。
 飼料用米には、そのコスト面が求められるが、 先にコストがよぎると、得てして粗放栽培となる懸念もあり、 それではコストの貢献にはつながらない。
 米が余るから、仕方なく飼料用米を作るのではなく、 前向きに取り組む環境づくりこそが大切である。
 そのためには飼料用米に取り組む農家が注目され、 評価され、お互いに交流する中で切磋琢磨し、 勇気づけられる関係が大切であろう。
 昔から米は地力で作るという。 コストを落としていく要因の中で、なによりも収量の 多いことが求められる。
 そのためには、飼料用米には多肥が求められるが。
 この面でこそ、耕畜連携・堆肥供給が果たすべき 役割は大きい。
 堆肥が充分に田んぼに入れば、その肥料代の節約だけでなく、何と言っても、米作りの最大応援歌である、“田に地力が付くこと”が何よりもうれしい。

2018年6月19日

株式会社秋川牧園  会長 秋川 實

2018年9月27日


「耕畜連携体による飼料米生産で地域循環を実現」―鰹H川牧園の取組―

鰹H川牧園 会長 秋川 実

1.秋川牧園とは

 初めに少し、秋川牧園の自己紹介をさせていただくと、秋川牧園は、1972年に現在地で、食の安心安全を目指して個人創業、1979年に法人化した。
 開発、農業生産、加工、販売まで行う、今の表現で言えば6次産業の草分けのような農業の会社である。
さらにその創業の原点といえば、私の父、秋川房太郎が、昭和2年に中国に渡り、今で言う食の安心安全を目指した秋川農園を創業したところに遡る。
 全ての食べ物を健康にしたいとの念願から、当社グループが生産し、加工して販売する品目は、「鶏卵、鶏肉、豚肉、牛肉、牛乳、野菜、飼料用米等」、ほぽ、その農業生産物の全品目に及び、その販売先は生活協同組合を中心に、また、自らの直販事業も推進している。

2.飼料米の取組に至るまで

 秋川牧園の取り組む生産物の中でも、鶏の比重が高く、中でも、鶏肉の生産量が多い。
 これらの畜産の生命線は、その元となる飼料にある。
 当社では、早くから、不可能と言われていた鶏卵や鶏肉に「抗生物質や抗菌剤を一切使用しない無投薬飼育」を成功することができたが、併せて、飼料の生体濃縮型の残留農薬の安心安全を目指しその研究調査活動を続けてきた。
 その調査のため、度々海外に足を運び、特に生体濃縮の問題点の多い有機塩素系農薬の農地残留については、世界の地域での調査を続けてきた経緯にある。
 このような調査行の中から、海外の穀物の生産や流通の仕組みについても熟知している関係にあり、生産コスト面だけを比較すれば極めて優位にある外国の穀物と、日本の農業が抱えるコスト上の困難な課題について、「どのように考えどのように解決して行くのか・・」、それについて、いつも、いつも真剣に考え続ける中、飼料米の在り方に対する強い思いが熟成されてきた。

3.日本の農地を守る・・飼料米利用の推進の中から
   食料自給率の向上、non-GMO(非遺伝子組み換え)の推進へ、
   日本のお米の最大の武器と競争力は、non-GMO、遺伝子組み換えしていないこと

 耕作放棄地の増加、日本の農地をいかに守るか、食料自給率の向上等、どれを見ても日本の農業には重要な課題が山積している。
 私どもは、安心安全な食と命を守るため、これらに対する運動を生活協同組合の方々と共に進めてきた。
現在、当社で給与する飼料は、すべて、遺伝子組み換えしないnon-GMOである。
 私どもは1980年代に、海外から輸入される飼料用穀物について、ポストハーベスト農薬処理しないで保管し、分別して日本に持ち帰る仕組みを開発した。
 今、残念ながら、遺伝子組み換えの種がどんどん増えて行く中で、北米、南米等、海外から遺伝子組み換えしない穀類を輸入することは、価格面を含めて困難な時代を迎えている。
 日本の米が、国民と政府の一体的な努力で、遺伝子組み換えしないでがんばってきたその歴史的な財産が、今、飼料米として生かされることを大事にしたい。

4.耕畜連携・・見事、地域循環の成果が実現
  元気な生産者・・・多収穫と低コストを目指す

 私も戦前、戦後の厳しい稲作を体験して生きている。
 当時は、食糧難の時代、少しでも、いかに収穫量を増やすかが必死の時代だった。
 そんな中、農家は一生懸命で多収穫栽培に励んだが、そこで頑張ることができたのは、常にたくさん作るという農業者の喜びが漲って(みなぎって)いたからに他ならない。
 その後、日本の米余りが定着して行く中で、減反政策が進められ、ここから農業と農村の活力が大きく低下して行くことになった。
 私たちの飼料米づくりは、「とにかく多収穫、そして低コスト」を目指している。
 「みんなで、たくさんお米を作ろう!」という私どものこの呼びかけに、元気でありたい生産者が積極的に参加して下さった。

元気な生産者の多収穣栽培の3本柱は、
 @ 積極的な有機質完熟鶏糞堆肥の多投・・・番産と飼料米の地域循環
 A 飼料米専用品種の採用と開発
 B もみ保管、もみ給与・・籾摺りコストの低減等・・
・・にある。

(発酵鶏糞が主役の施肥体系)・・綿密な施肥設計
 当社のグループ全体では、約11万羽の採卵養鶏と、年間230万羽(長期飼育無投飼育)近くの鶏肉生産を行い、そこから大量の鶏糞堆肥が生産される。
 これらの鶏糞は抗生物質や抗菌剤を使用しない無投薬飼育、飼料はすべてnon-GMOでもある。
 これらから生産される大量の畜糞は、以前は遠方まで運ばないと消化できない有様であったが、飼料米の栽培で最近は足りない位に利用者が増えた。
 私どもの飼料米生産農家に対しては、無料でこの発酵鶏糞を圃場まで届けるので、上手にやれば、肥料代がかからない稲作が可能である。
 施肥量は、過去の実績を見ながら、毎年、綿密に圃場毎に施肥量を定める。
 実際に闘場で機能する毎年のN量を推算し、圃場毎に投入量を、毎年シミュレーションしながら施肥設計を定める。
 N量の基準は、地力、前作の残存肥効成分をベースとし、14〜20kgの範囲で、間場毎に施肥量を算定している。
 鶏糞堆肥は、原則として、初年度の掴場には、反1トン、次年度以降は、圃場の土壌特性や土壌検査を噛み合わせながら、圃場毎に施肥量を定めている。

 窒素成分は3.0〜3.4%と、普通の鶏糞肥料よりはるかに高い。
 施肥した年度の窒素の有効利用率は、50%、2年目が10%、3年目が5%位に判断し、鶏糞中のNの量の全量が初年度に効くものでなく、3年間の通算で35%位の逸散流亡ロスがあることを前提に施肥設計することが肝要である。
 又、鶏糞堆肥について、未発酵部分が多いと、稲が青立ちとなり、ウンカコブノメイガ等の被害の原因となるので注意が肝要である。
 堆肥の撒布は、丁寧に行わないと、多すぎたところが青立ちとなる。

(飼料米専用品種の採用と地域循環へ)
◆ 飼料米の給与と生産について
 当社の使用する飼料はすべてnon-GMOであるが、その飼料の総量は月間約2000 トン程度にもなる。
 私どもの飼料米の本格的な栽培は2010年から、飼料への使用は2011年春から始まった。
 採卵用や肉用鶏については、生活協同組合連合会グリーンコープ連合の調達による九州産を主体とした国産玄米であり、山口県の「もみ給与」による自社生産分は、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会へ供給する国産肉用種「はりま」に給与するモミ米の生産を担うものである。

◆ 飼料米専用品種の採用と多収穫栽培・・元気な生産者が集う場に
  行政と一体で進める共励会と技術指導体制の強化が力に・・
 飼料米栽培の生命線は生産コストにある。そのコスト低減には、なによりも収穫量が多いことが力になる。そのためには、有機質肥料による多肥栽培と、飼料米専用品種の採用が大きな力となる。
 多収穫栽培の障害要因の主体は稲の倒伏にある。
 だから倒れない稲の品種を見付けなければならない。
 その最初の出会いが、山口県農林総合技術センター畜産技術部(美祢市)で行われた委託試験圃場でのモミロマン(専用種)の視察会であった。
 倒れない稲に、堆肥をしっかり入れて、多収穫。当社が一般聞場で試験栽培したのは2009年から、反収900kg(モミ)から1000kgに近い多収穫が実現できた試験田に多くの視察者が訪れた。
 以後、毎年2回にわたる共励会現地視察会には山口県や山口市関係者や農業指導者の方々や多数の農家の参加者が続き、そこには元気な生産者の笑顔が見られて、それはとてもうれしく心強いものである。
現在では、結実性の高い北陸193号が、私共の飼料米の主役となっている。
 耐虫性の問題さえ解決すれば、反1000kg(モミ)、玄米重換算、反13俵が現実のものとなっている。

(もみのまま、鶏に給与)
 もみのまま鶏に給与できれば、籾摺り代は要らない。
 飼料米専用品種を栽培しないと、コスト的にも長い目で見た飼料米の成長はあり得ない。
 そのような最中で、大きく障害になったのが、ライスセンターでの混粒問題だった。
 そこで浮かんだのがモミのまま鶏に食べさせるという方法だった。
 給与試験の結果、栄養的なロスもなく、しかも、食味検査の結果、お肉にモチモチ感が出てとてもおいしいと好評を博して、これは大成功だった。

5.今後の課題点、の克服に向けて
 @ 耐虫性飼料米専用品種の早期実現ヘ
          「田植えを早く」がコツ
 地域循環が実現したこと、元気な生産者が蘇ったこと、もみ給与が成功したこと等、飼料米栽培に大きな成果が上がりつつある。しかしながら、課題点がないわけではない。
山口県の瀬戸内沿岸では、麦との2毛作が盛んで、そのため、田植えが6月下旬以降とどうしても遅くなりがちとなる。
 現在の飼料米専用品種(インディカ交配種)はほとんどが晩生で、秋の冷気の中での結実率に問題があるものが多い。
 7年間の経験を経る中で、田植を早く、遅くとも6月20日までには済ませたい。
また、葉色が濃い濃緑色の品種がその主体で、しかも晩生である。
 他の食用米が刈り取られた後、色の濃いインディカ飼料米専用品種は、ウンカやコブノメイガの標的になりやすい。
 また、耐虫性についてインディカ交配種は、イモチ病には強いが、日本在来のジャポニカ種よりも耐虫性に弱いという傾向がある。
 今後飼料米専用種について、早急な耐虫性遺伝子導入による品種改良が急がれるところで、遺伝子マーカー等を採用した耐虫性品種改良等について、国を挙げて早急に取り組むことを強く要望するものである。

 A 国の助成を得て、飼料米鉄板サイロが2016年11月に完成
   海外の農家鉄板サイロによる圧倒的に安い保管コストのメカニズムを、
   日本型の飼料用米の仕組みに改善活用する・・・
 では、トウモロコシ等、輸入飼料の原料価格と比べた場合、その国内利用でのコストはどうなのだろうか?
現状では、かなりコスト高になっている状況は否めない。しかしながら、日本の米の生産量が年間800万トン前後、それに対して、飼料穀物の輸入量は1500万トン近くある以上、飼料米への取り組みは重要な課題だと言える。
 しかしながら、現状の助成策を講ずる中で、低コスト多収穫を進めても、なお、残念ながら、まだ、non-GMOのトウモロコシよりも割高となる状況が続いている。
 これらを解決するためには、保管コストの低減がカギとなり、低コストの鉄板製のサイロの施設が急務である。この仕組みは、私共が、すでに40年以上前から海外調査の中で、心を温めていたスパラシイ低コスト保管の仕組みである。
海 外の穀類が安く輸出されている理由の一つに、建築確認申請等の規制を受けない低コスト鉄板型のサイロの歴史的な普及がある。
 国内での簡易鉄板サイロの設置に対して、より踏み込んだ政策的支援が、今、求められている。

6.元気な生産者、活力ある地域づくり
  山口県飼料用米推進協議会の活動・畜産クラスターの取組

 私達が進める地域循環型の飼料米の推進は、民間と行政の一体的な協力で進められていることが大きい。
山口県では、早くから飼料用米推進協議会が設けられ、農林水産部を基軸に行政と民間が一体となってその推進普及活動が展開されている。
 飼料用米の利用は、今のところ山口県養鶏協会の参加による養鶏用がその主体であるが、乳牛や肥牛の分野にも活動が拡がりつつある。
 また、地元では、農林事推算務所、山口県、山口農林総合技術センター、山口市、山口県全日本畜産経営者協議会等の指導を得て、審産クラスターの活動を推進している。
 また、これからの更なる農地の保全と食糧自給率向上を目指す飼料米の普及のためには、多収穫飼料米専用品種の早期の耐虫性品種の開発、海外並みの低コスト保管サイロの普及のための抜本的な助成策等が急務と考える。
 技術の進歩を図る時は、始めからコストという複合的なものでそれを競うより、シンプルで分かりやすい収穫量で競う方が明確で、結果として、コストダウンにつながると考えている。
 2017年度の産米では、山口県の当グループから、農林水産大臣賞、日本農業新聞賞、中国四国農政局長賞をいただく光栄に浴することができ、農林水産省、日本飼料用米振興協会のご指導に感謝申し上げるところです。
当社は、月間2月2,200トン程度の飼料を使用し、年間約4,600トン程度の飼料用米を使用している。
 この内、当社が直接栽培に関わっている山口県での専用品種による栽培は、まだ、900トン程度に過ぎず、今後の専用品種への転換が増加して行く、その期待は大きい。
 今後、飼料米を基軸にした農地や地域の保全と、日本農業と地域経済の活性化を図るため、今後共、国の強力な施策の継続を期待したい。

以上

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