◆飼料用米普及のためのシンポジウム総合案内

2024年8月31日2025年1月10日

最新情報です


第11回 飼料用米普及のためのシンポジウム2025(2025年3月20日) – J-FRA

【日本飼料用米振興協会の活動紹介】(法人化以前から今日までを時系列紹介)

目次

▶2008年~2015年までは、このページの後半にも記載しています。

【社団法人化以前の取組み~2008~2014】
法人化第1回~第2回 2015~2016
法人化第1回から現在まで

飼料用米多収日本一表彰事業のページ
下記のシンポジウム開催報告のページに「飼料用米多収日本一表彰式関係記事」を掲載していることがありますのでチェックしてください。

下記は一般社団法人 日本飼料用米振興協会 が誕生後の開催です。

第1回 飼料用米普及のためのシンポジウム2015(アップしました)

第2回 飼料用米普及のためのシンポジウム2016(アップしました)

第3回 飼料用米普及のためのシンポジウム2017(アップしました)

第4回 飼料用米普及のためのシンポジウム2018(アップしました)

第5回 飼料用米普及のためのシンポジウム2019(アップしました)

第6回 飼料用米普及のためのシンポジウム2020(アップしました)(コロナで中止、資料を閲覧できます)

第7回 飼料用米普及のためのシンポジウム2021(欠番です。開催中止しました)
シンポジウムは中止しましたが、飼料用米多収日本一表彰式は、各地方ごとの該当受賞者の農政事務所に表彰状と副賞盾をお送りし、農政事務所では、表彰式を実施した地方もありました。その資料を掲示しております。

第8回 飼料用米普及のためのシンポジウム2022(アップしました)

第9回 飼料用米普及のためのシンポジウム2023(アップしました)

第10回 飼料用米普及のためのシンポジウム2024(アップしました)

第11回 飼料用米普及のためのシンポジウム2025(来年3月に開催予定 内容を検討中)

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法人化以前の飼料用米普及の取組みの歴史経過

008年~2014年のシンポジウムの歴史

飼料用米普及のためのシンポジウム開催のために「超多収穫米普及連絡会」を結成しました。この団体として様々な学習会・セミナー・シンポジウムを主催、共催、協力をしてきました。
その成果をもとに、2014年4月1日に「一般社団法人 日本飼料用米振興協会」として発足しました。

2008年~2015年3月のシンポジウム開催の歴史 PDF
飼料の高騰と食料自給率の問題点アメリカのトウモロコシからのエタノール生産が飼料の高騰を招く
日刊自動車新聞 2007年3月31日食糧危機とエネルギー

20070224_日刊自動車新聞_車笛_02食糧危機とエネルギーダウンロード

2007年2月24日(土)日刊自動車新聞 「車笛」エッセイ

食糧危機とエネルギー
エタノール化が食料パニックを招く日は来るか?

DME自動車普及推進委員会
事務局長 若狭良治
 
 近所のスーパーマーケットで、Mサイズの卵10個パックを買ってきた。はかりで量ると、ポリパック(12g)を差し引くと628㌘、一戸当たり62.8グラムである。卵の企画表で確認すると、Mランクである。
 約16個で1㌔㌘となる。通常、1㌔㌘の鶏卵を生むために成鶏は2.2倍の飼料を必要とする。

 単純に計算すると、飼料が、トン当たり2万円が3万円になると、1㌔㌘が20円から30円になるので、2.2倍として、鶏卵1㌔㌘のための飼料代は44円が66円となる。
 飼料代の値上がり分を16個で割ると、1個当たり1.38円、10個入りパックだとその10倍、飼料代が支出される。
 鶏卵を採取する鶏をレイヤーというそうで、そのレイヤーに供給する飼料は、トウモロコシが約70%、飼料の7割にトウモロコシ高騰の影響が出るが、その他の飼料もアップ傾向で、全般として飼料代が高くなることは避けられないという。
 何でそんなことに興味を感じたかというと、米国でのトウモロコシのエタノール製造により、トウモロコシが高騰し、鶏卵業者を直撃している話から、生協の友人が、米の飼料転換できる「えさ米」の生産を検討したいという話を聞いたからである。
「えさ米」については、コスト問題や生産農家の条件など様々な課題がある話なので、今回の話題とはしないが、エタノール生産によるトウモロコシの価格への影響には関心を深めた。
 蛇足であるが、「えさ米」については、日本人の米に対する歴史的経緯や米作農家の意欲などを勘案すると、「多用途多収穫米」という表現が良いのではないかと感想を述べた。

◆鶏卵の規格
表 示     重 量       ラベルの色
 SS  40g≦ 卵 <46g    茶
 S   46g≦ 卵 <52g    紫
 MS  52g≦ 卵 <58g    青
 M   58g≦ 卵 <64g    緑
 L   64g≦ 卵 <70g    ダイダイ
 LL  70g≦ 卵 <76g    赤


 さて、バイオマス利用のエタノール生産はすっかり世界中の流れになってしまった感がある。

 その結果、様々な面でひずみが現れてきたようである。 
 トウモロコシの世界全体の生産量は、近年6億トン前後で、うちアメリカが4割程度を占め世界最大の生産国である。同時、アメリカは世界最大の輸出国であり、シェアは60%を超える。
 アメリカの主要生産地帯の天候・作柄状況により世界中の在庫量・価格が左右される。

 シカゴを本拠とした先物取引の対象ともなっている。
 遺伝子組み換えによる病虫害に強い品種も広がり、輸出入での規制対象ともなり、何かと物議をかもしている。
 一方、日本はトウモロコシのほとんどを輸入しており、牛、豚、鶏などの飼料のほとんどをこれらに依存している。
 その意味では、日本はトウモロコシ輸入国として世界最多であり、約90%がアメリカからの輸入である。
 輸入品の約75%は日本国内で家畜飼料として利用され、国産トウモロコシのほとんどは缶詰めや生食用に回る。
 このようにトウモロコシの実は、人間の食用や畜産飼料として利用されている。

 そのほか、コーンスターチ(デンプン)やコーンオイルなどに利用されている。
 トウモロコシの高純度デンプンを利用して、工業作物としても利用される。
 コーンスターチは製紙や糊などに利用される。

 また、発酵によって糖やエタノールなどの化学物質へ加工されている。
 最近では、放置して分解される生分解性プラスチックとしてのポリ乳酸や、バイオエタノールとして自動車燃料などへの用途が急激に広がりつつある。
 
■米国でトウモロコシの50%がエタノールで消費


 アメリカでは、急激なトウモロコシのエタノール転換が進む中で、世界的な穀物価格急騰についての情報が出るようになってきた。

 共同通信は1月8日付けの情報では、米港の状況を次のように伝えている。
 「コーンなはずでは!?エタノール拡大で穀物急騰の恐れ」と見出しをつけ米国の状況を伝えた。

 2001/08 04:07(共同)
「自動車のガソリンに混ぜるバイオ燃料エタノールが原油高騰などで急速に拡大している米国で、2008年には原料となるトウモロコシの国内生産量のほぼ半分がエタノール向けになり、世界的な穀物価格急騰の恐れがあると米環境シンクタンク、アースポリシー研究所が4日、発表した。
 農業大国アメリカでの、穀物を原料にした燃料の性急な拡大に警鐘を鳴らした形だ。

 米国内で稼働中のエタノール精製所は06年末現在116カ所。
 同研究所の調査では、精製所の建設が加速しており、さらに79カ所が建設中だという。
 現在はトウモロコシ生産量の約20%が精製所に供給されているが、建設中の精製所が予定通り稼働したとすると、08年には2億8700万トンの予測生産量のうち約48%の1億3900万トンが精製所向けになるという。
 米国は世界のトウモロコシの約40%を生産し、世界の輸出量の約70%を米国産が占めている。
 世界の穀物輸出の4分の1が米国産トウモロコシという。
 同研究所のレスター・ブラウン代表は「トウモロコシの不足分が麦や米などのほかの穀物の需要拡大につながり、穀物全体の価格が急騰する。牛乳や卵、肉などトウモロコシ飼料を使う酪農品の価格も上がる」として、エタノール製造の規制を求めている。」(共同)
 また、経済成長が著しい中国では、2007/02/05の日本経済新聞夕刊の「ニッキィの大疑問」で『長期的には、世界の人口増加で需要が着実に増えていることが挙げられます。

 また一部の国で食生活が向上し、穀物飼料を大量に使う肉類の消費が増えている影響もあります。
 牛肉1キログラムを生産するには8キログラムの穀物が必要と言われています。
 特に中国の需要の伸びが著しいですね。
 かつては穀物の大輸出国でしたが、大豆は96年から輸入に転じ、トウモロコシも輸入国に転落するのは時間の問題と思います」「短・中期的には、先ほど言った投資資金も相場を押し上げています。
 もう一つ、トウモロコシについては自動車の燃料にする需要も増えてきました」などとし、
▼トウモロコシが自動車の燃料に?「トウモロコシやサトウキビを発酵させてアルコール(バイオエタノール)をつくり、ガソリンと混ぜて使います。米国では今年のトウモロコシ需要の二割近くをエタノール生産向けが占める見通しです」
▼日本への影響は?「日本の飼料自給率は25%である日本へ様々な影響が出ることに警鐘を鳴らしている。をなので、輸入飼料の価格上昇で肉類も徐々に値上がりする可能性があります。養殖魚のエサにも使うので、魚の価格にも響きそうです。トウモロコシからつくるコーンスターチは甘味料などとして幅広く利用されるため、食品や飲料の価格にも跳ね返るかもしれません。全体にまだ目立った変化は出ていませんが、穀物は利用のすそ野が広いだけに、注意が必要です」

■事態は予想を超えて食料・飼料パニックへ進むのか?


 事態は、大変な状況に突き進んでいるようである。

 米国のトウモロコシの20%程度と言われていた話が、50%に拡大し、それだけの処理能力を持つ生産設備を遊ばせることはないということを考えると、来年にも本格的なパニックが発生する可能性がある。
 一般的に相場商品は、10%不足すると2倍になるといわれるが、20%どころか50%となれば事態は深刻である。
 また、現在の日本政府が進めるエタノールをガソリンの10%を添加することを実現するには、日本の遊休農地では不足というし、安倍総理が提唱する「国内で600万㌔㍑実現」には、5倍の国土が必要とするということである。

 また、農林水産省は、109億円をかけてバイオエタノールの導入と開発に力を注ぎ、それを受けて、北海道JAグループでは、規格外小麦や砂糖生産に向かない甜菜(砂糖大根)からエタノールを作るプラント建設助成が決まった。
 1万5千㌔㍑を目指している。
 農林省は、「国内農業生産が縮小しないことがバイオエタノール事業のポイント。
 口に入らない作物を植え、収穫作物は米の10分の1以下の価格となるが、農村再生をバイオエタノールで実現する」(農林省環境政策課)と説明している。
 また、ハードバイオマス(廃木材)を原料とした燃料用エタノールを生産する世界初の商用プラントが16日、大阪府堺市に完工した。

 境の商用プラントは、コスト、技術の両面で難しい廃木材から、年1400㌔㍑のエタノールを供給する。そのことについて、2007年2月2日付けの日本経済新聞は、次のように報道している。
『バイオ燃料、セルロース活用始まる、木くず・草など酵素分解』という見出しで、バイオ燃料として注目されるエタノール開発で木くずや草の主成分でこれまで未使用だったセルロースをエタノールとして有効活用する技術開発が進んでいることを報じた。

 地球環境産業技術研究機構(RITE)やバイオエタノール・ジャパン・関西(大阪市)が、酵素でセルロースを分解しエタノールを作ることに成功。
 「実用化すれば次世代燃料の生産効率を改善する基盤技術」とし、となりそうだ。
 RITEと、合わせて本田技術研究所は稲ワラのセルロースとヘミセルロースを酵素で効率良く分解、糖を発酵してエタノールを作る技術も紹介している。を確立した。
 5月、埼玉県和光市にある同研究所に研究用プラントを稼働させる。
 RITEが反応に利用した酵素を回収して再利用する手法をプラントに導入する。
 大成建設や丸紅が出資するバイオエタノール・ジャパン・関西は2009年までに、建築廃材を酵素で糖に分解する手法でエタノール生産に乗り出す。

 同社は1月16日に廃木材を希硫酸で溶かしてエタノールを生産するプラントを稼働させたが、セルロースは分解できないため燃やして熱として利用している。
 酵素法の採用でセルロースも分解できるようになり、エタノール生産効率は大幅に向上するというのだが、本当か。
 産業技術総合研究所は機械的な粉砕と高温の水処理を組み合わせて木のセルロース結晶をほぐすことに成功した。木材を1000分の1ミリ単位まで砕き、セ氏二百度以上の加圧熱水に通してセルロースの結晶構造が壊れて酵素が反応しやすくする。
 いずれにしても、日本農業新聞(2007年2月5日)論説では、諦めにも似た次のような表現をしている。

 『わが国は、毎年1000万トンを超すトウモロコシを米国から輸入する。年間2000億円を買う優良なお客さんだが、残念ながら米国のエタノール増産政策に対し、議会で注文をつけることは無理。あくまでも米国内のエネルギー政策だからだ。米国産トウモロコシに依存するわが国の畜産農家は、高値のトウモロコシを買い続けるしかない。穀物相場は市場の需給で決まる。だが、一国の政策が需給に大きな影響を与えることが、あらためてはっきりした。食料を輸入に依存することのリスクを、今回のエタノール増産政策が示している。』
 卵を買ってきて、重量を測るうちは良いが、測る卵が入手しにくい状態が、徐々ではなく、急激に、なおかつ、持続的に生まれてきていることを感じる次第である。
 そもそも、「カーボンニュートラル」という幻想。

 CO2を循環する植物を利用すれば地球温暖化に影響しないという誤った考え方が根本にある。
 耕作し、収穫し、加工し輸送する手段はすべて化石燃料に依存しているという当たり前の話を無視し、あえて、見てみない振りをして進めていくことの恐ろしさと、世界中で進むエネルギーセキュリティやエネルギーナショナリズムの進行という様々な状況がこれらのことを生み出しているということは明白であり、腰を落ち着けて、じっくりと議論するときではないだろうか。
 
◆主なバイオマス資源
廃棄物系バイオマス
 ・廃棄される紙 ・家畜排せつ物 ・食品廃棄物 ・建設発生木材 ・製材工場残材
 ・黒液(パルプ工場廃液)     ・下水汚泥  ・し尿汚泥

未利用バイオマス
 ・稲わら、麦わら ・もみ殻  ・林地残材(間伐材、被害木等)
資源作物
 ・飼料作物  ・でんぷん系作物 等
 

日刊自動車新聞 2007年3月31日飼料用米で育った鶏卵の黄身は薄かった。

20070331_日刊自動車新聞_車笛_白い黄身02ダウンロード

日刊自動車新聞2007年3月31日
2009年1月10日(土)日刊自動車新聞 「車笛」エッセイ
自動車の燃料と車種の選択と今後の見通し(その5)
食糧自給率の向上とバイオマスエネルギー

 金融バルブの大破綻から実体経済への加速度的な影響は、日々深刻さを増している。
 マンション不況が、5月の近藤産業の倒産以降、最近のダイア建設の民事再生手続き申請に至るまでに、上場企業だけでも24社に登っている。
 しかも、その中で黒字倒産といった金融機関の貸し渋り、貸し剥がしといった金融不安による反応で実体経済への影響が一層深刻化した状態で現れているようだ。
 ホンダによるF1撤退やその他のモータースポーツからの撤退など矢継ぎ早に発表されている。
 自動車メーカーやカメラ・OA機器メーカーによる期間工や派遣工の組立工たちの契約打ち切りなど、地域経済への影響も大きくなっており、自動車販売の低迷から始まって、次から次へと沈滞ムードに拍車がかかってきた。
 3月の期末に向かって、何が起きても不思議ではない状況が生まれている。
 トヨタ自動車の2兆円の利益が6000億に下方修正され、さらに、マイナス1500億円に再修正されたことで、リストラの競争が大手企業を先頭に日本中を席巻している。
 一説には、トヨタ自動車など自動車メーカーは、アメリカのビック3の受け皿とならないように先手を打ったといううわさもあるが、その真偽のほどは別にして、日本を不況列島へ加速させたのは事実であり、その結果、一段と自動車の購買層を縮小させたのも現実であろう。
 このような中で、景気対策を合言葉に国の予算は、赤字国債や埋蔵金頼みの大幅アップ予算が組まれているが、その多くは、従来の良さの復活などどさくさまぎれの予算のようだと野評価で、これらが果たして景気浮揚策になるかは甚だ疑問であり、不明であると言える。
 従来の枠組みでの行政のあり方が問われており、世界的に見れば、新自由主義、新資本主義の落とした影響は測り知れぬほど大きくなってきたようだ。
 いずれにしても昨年の1年間は、様々なことが起きたものである。
 金融商品が天井知らずの高騰を謳歌し、商品相場もそれにつられて高騰し、原油も147ドルという高値が実現した。
 しかし、それらも、アメリカにおけるサブプライムローンという通常の住宅ローンの審査には通らないような信用度の低い人向けのローンを証券化した金融商品が、支払いが滞るようになり、一気に証券化商品の評価が下落したことにより、一連の金融商品相場が暴落したことに端を発し、投資機関の破たんにつながった。特に、リーマンブラザースの破たん以降は目を覆うばかりである。
 原油は、最近の商品市況は、一時的には35ドルレベルにまでなっており、最近の財団法人日本エネルギー研究所の発表によれば、45ドルから50ドルが予想されるが、このままの景気低迷が続けば、20ドル台も現実となるということである。円の独歩高が続く中で、1バーレル35ドルを現在の90円レベルで計算して比較すると、2000年から2003年頃の輸入価格となる。
 その頃は、1バーレル23ドルから28ドル、ドルは、120円から110円程度。いずれにしても、2008年は、一番高かった時と一番の安値を比較すると5分の1に暴落したことになる。
 さて、こんな暗い状況でくれた2008年であるが、2009年を将来に向けた明るい年にしたいものである。
 さて、2年前の2007年2、3月の本欄で、アメリカでのトウモロコシを原料とするエタノールの製造が始まったことにより、飼料穀物であるトウモロコシなどが大幅アップしていることに触れ、国産穀物飼料の必要性や可能性について、飼料米の可能性について記述した。

 青森トキワ養鶏農協の石澤直士専務理事が「米」で育てた卵を紹介した。
 黄身の色は、白っぽくはあったが薄黄色であった。牧草のアルファルファを加えたとのことで、加えないともっと白くなるということであった。
 この2年間で、飼料としての米の利用方法について、トウモロコシ価格の高騰という背景があり、普及の動きが大きくなってきました。
 特に、東京農業大学の信岡誠治准准教授が、畜産マネジメントの立場から飼料米を研究し、「超多収」という表現がふさわしい飼料米を研究改良し、実際の農家に提供して普及を図ってきています。

 10月19日のNHKスペシャルで、世界的な食糧危機の実態が放映されたが、そこでも日本における食糧自給率の向上の必要性とそれに果たす超多収飼料米の有意性が報告されていました。
 11月28日に、生活協同組合や養鶏や畜産農家の方々の呼びかけで、「超多収飼料米普及が畜産・大パニックを防ぐシンポジウム」がエデュカス東京で開催された。
 内容は、首都圏の生協が飼料米で育てた鶏卵を取り扱って組合員に提供している事例や育てている生産者から取り組みの状況が報告された。
 また、信岡先生の「超多収飼料米が畜産と水田を救う」と題する特別講演が行われた。
 ついで、信岡先生と、生産者として全国養鶏経営者会議の石澤直士会長、畜産農民全国協議会の森島倫生会長、消費者として生活クラブ事業連合生活協同組合連合会の加藤好一会長理事、家庭栄養研究会の蓮尾隆子副会長によるパネルディスカッションが行われた。
 このシンポジウムで、今回のトウモロコシの高騰による飼料の高騰で痛めつけられ、相当数の畜産農家が離農せざるを得ない状況が生まれる中で、現在は、高騰していた飼料も金融破たんから始まった世界的な経済の大混乱のなかで、価格はそれなりに下がってきたが、この間の食糧輸出国が輸出を止めるなどの現象が生まれたことなどから、食糧が国の安全保障上の重要なポイントであることを感じることができたこと、そのために、食糧自給率をどのように向上させていくかが語り合われた。
 また、食の安全・安心・健康というキーワードにして、出所明白な食糧の自給率を向上させていくことの重要性が話し合われた。そのために、消費者から見ると農家と畜産農家は同一のように見えて、全くの別業態となっていることを理解し、耕(作)畜(産)連携の重要性などが提起された。
 内容的には様々な問題を含んでおり、ここで述べきることはできないが、今回のポイントは、その中で、超多収飼料米といわれる米の役割である。米は、狭い国土の日本に適した作物であることが言われるが、その最大の特徴は、水田という農法で、土が水で毎年洗われることにより、ウイルスなどによる連作障害が発生しないことで、同じ場所で同じ米を作り続けることができるということである。
 今回、信岡先生から紹介された「モミロマン」という超多収飼料米は、コシヒカリなどの三倍以上の収量があり、茎である藁(わら)も大量に取れるということである。
 また、大量の堆肥を入れても倒伏せず、水の管理や実った状態で、多品種の米が10月初旬に駆り取りしたものを、このモミロマンは、11月初旬まで田んぼに植えた状態でおいて、乾燥もさせてしまうという手間のかからない農法で育てていることである。

 私の持論だが、食糧もエネルギーもその多くを輸入に頼る日本では、その両方を追いかけているわけだが、狭い国土での自給を目指す場合、「二兎を追うものは一兎も得ず」のことわざのように中途半端に終わってしまう。
 原油や天然ガス、石炭は貴重なものだが、それらを直接食べることはできない。
 しかし、食糧は、日本の実情に合った状態で生産増強が可能なのではないだろうか。
 余れば輸出すれば良いわけで、また、使いきれないわらをバイオマス燃料」として、ペレットや場合によってはエタノールあるいはメタノールかをしてエネルギーとしての利用も考えられる。
 以前に、休耕水田にポプラやユーカリのような成長の早い樹木を植えて、エタノールを製造するプロジェクトに大企業や国、自治体などが取り組んでいることに対する批判を書いたことがあるが、今回の取り組みを見聞きし、ますますその感を強くした次第である。
 写真左:米卵(黄身が白っぽく今一つ評判が悪い) 、ウモロコシ卵
 写真右:米育ちの牛肉(脂身が白く、評判が良い)
 白い黄身の卵で作ったマヨネーズは白い、ホワイトケーキなどでは、むしろ重宝されている。

写真左:米卵(黄身が白っぽく今一つ評判が悪い) 写真右:トウモロコシ卵
写真右:米育ちの牛肉(脂身が白く、評判が良い)
白い黄身の卵で作ったマヨネーズは白い。ホワイトケーキなどでは、むしろ重宝されている。

 さて、信岡准教授は,「超」が付くほどの多収穫できる飼料用米である「モミロマン」を実験圃場で作付けし,雛から育てた28羽の白色レグホンにモミのまま給餌し,1年たっても、95%の採卵率で卵を産ましている。
 連日,27~28個の卵が生まれ,場合によっては,29個や30個のこともあるそうである。
 また,卵殻が固く,3か月間冷蔵庫に保管した卵も十分に食すことができるレベルで,モミのままで給餌することで何らかのまだ未解明の成分の効果があるようだという。
 11月2日付の日本農業新聞の1面トップに,次のような記事が掲載された。 『<卵は米育ち 鶏飼料に配合 割高も人気/首都圏の生協が次々商品化>食料自給率向上の観点から飼料米が注目を集める中,首都圏の2生協が今月,米で育てた鶏卵の試験販売に乗り出す。
 トウモロコシなどの配合飼料で育てた通常の卵に比べ,黄身の色が淡いのが特徴。
 価格もやや高めとあって消費者の反応は未知数だが,先行販売する別の生協では,完売が6カ月間続くなど反響も出ている。
 東都生協(東京都,組合員約22万人)は17日から1週間,「産直えさ米卵」を3,500パック(1パック6個)限定で販売する。
 茨城県のJAひたち野管内で作付けした米「タカナリ」を,飼料の約6割を占めるトウモロコシの代わりに使う。
 価格は1パック198円。
 担当者は「『米育ち』だからと特別視せず,普通に食べてほしい」と期待を込める。
 1都7県の生協でつくるコープネット事業連合(さいたま市,組合員約342万人)は3日から来年2月まで,東京,埼玉,千葉の59店舗で「こめたまご」を販売する。
 飼料米の配合比率は20%で,10個入り258円(白卵)と6個入り178円(赤卵)の2種類。
 「卵黄色や価格への組合員の評価を聞き,宅配への拡大なども検証したい」としている。
 5月から販売を通年化したパルシステム生協連合会(東京都,組合員約113万人)は,売れ行きに手応えをつかむ。
 毎週,インターネット受注で「トキワの玄米玉子」6個入り60パックを販売。 開始から10月3週の時点まで24週連続で完売している。
 「むつほまれ」を中心に,飼料米の配合比率は6割。鶏は平飼いのため価格は1パック480円と高くなるが,一定の固定客が生まれたという。
 担当者は「『自然な卵黄の色』をPRし,それが受け入れられているようだ」と話す。飼料米の利用は養豚で先行してきたが,鶏卵,さらには肉牛へと広がりをみせてきた。生活クラブ生協連合会(東京都,組合員約31万人)は栃木県開拓農協と連携し,飼料米の作付けを始めた。まず豚肉すべてに飼料米を与えることから始め,数年後には牛へも給与し,飼料米で育てた牛肉を販売する構想だ。「耕種,畜産など多様な生産者と消費地とが交流できる”産地丸ごと提携”を目指したい」という。』 
 軽油やガソリンが原油147円まで高騰した影響で、国内では、一時180円を越えた状態もあったが、原油の大幅な下げが進行する中で、首都圏でガソリンが98円、軽油が93円程度となってきた。
 軽油の高騰で、運送事業者は代替燃料の検討を盛んに進めていたが、当初予算の範囲に価格が収まってきたことにより、その検討熱が冷めてきたようだ。
 しかし、OPEC諸国は、これまでの原油の高騰により国家財政そのものが膨張し、原油が70ドルレベルでないと、財政が立ちいかない国も多くなっているという。
 そのために、原油価格の大幅なアップを目指して協調して減産をするという。
 しかし、このような原油が高騰した原因である金融商品の理屈の合わない投機マネーによる買いあさりという実体経済を無視した価格つり上げをあいまいにして、原産による価格維持という行為に走ると、これから立ち直らなければならない経済をますます疲弊させ、結果として、価格が上がったも売れない上体では結局国家財政が立ち行かない状態が生まれるのではないだろうか。
 一方、国内の物流事業者は、不況の進行のなかで、物流が減少し、車両の買い替え時期の延長を始め、減車も始めたという。 鉄材の世界的な価格下落で、中古車の売れ行きも悪いという。
 右肩上がりが当たり前という誤った認識で今後も対処すると、取り返しのつかない事態になりそうである。 地に着いた取り組みが必要のようである。
 原油の輸入価格の比較(円/キロリットル)

genyu_price_crude-oilダウンロード

単位:$/bbl
グラフURL:http://pps-net.org/statistics/crude-oil
価格(月次)シートより算出
 年        ブレント      ドバイ        WTI        OPECバスケット
1982        33.42        31.76        32.77        *
1983        29.83        28.73        30.41        *
1984        28.80        27.49        29.38        *
1985        27.33        26.46        27.76        *
1986        14.77        13.20        15.08        *
1987        18.34        16.94        19.16        *
1988        14.97        13.22        15.97        *
1989        18.22        15.70        19.60        *
1990        23.68        20.46        24.49        *
1991        20.07        16.56        21.48        *
1992        19.31        17.19        20.56        *
1993        17.02        14.94        18.56        *
1994        15.83        14.67        17.16        *
1995        17.07        16.12        18.37        *
1996        20.65        18.54        22.07        *
1997        19.09        18.10        20.33        *
1998        12.72        12.13        14.35        *
1999        17.81        17.17        19.24        *
2000        28.27        26.08        30.33        *
2001        24.42        22.71        25.92        *
2002        24.97        23.72        26.09        *
2003        28.85        26.74        31.11        28.15
2004        38.30        33.46        41.44        35.98
2005        54.43        49.29        56.44        50.60
2006        65.39        61.43        66.04        61.04
2007        72.70        68.37        72.28        69.07
2008        97.64        93.78        99.56        94.04
2009        61.86        61.75        61.65        60.86
2010        79.64        78.06        79.43        77.38
2011       110.94       106.03        95.05       107.44
2012       111.97       108.90        94.16       109.50
2013        108.86       105.43        97.94       105.94
2014        98.94        96.66        93.11        96.19
2015        52.37        51.18        48.71        49.56
2016        44.05        41.20        43.19        40.68
2017        54.39        53.12        50.76        52.51
2018        71.07        69.15        64.82        69.52
2019        64.03        63.18        57.01        64.02
2020        42.30        42.17        39.31        41.37

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【2008年】
2008年7月26日(土) 午後1時30分~4時30分
畜産・大パニック阻止学習会
会場:新宿家庭クラブ会館 渋谷区代々木3-20-6 TEL 03-3370-6322
主催:畜産・大パニック阻止学習会実行委員会(準備会) 
   消費者と生産者の有志 20名による呼びかけで開催された。 
消 費 者:
浅井和雄、井口信治、伊藤和夫、上原公子、榎谷雅文、海老澤惠子、 甲斐真澄、金子美登、清水鳩子、辰濃和男、中塚敏春、蓮尾隆子、土方彰子、平田迪子、松村敏子、若狹良治
生産者団体:
青森ときわ村養鶏農業協同組合 専務理事 石澤直士
畜産農民全国協議会 会長 森島倫生
千葉県長生地域畜産振興協議会 会長 中村種良
農民運動全国連合会食品分析センター 所長 石黒昌孝

中央大学名誉教授 今宮健二 氏講演概要

20080726.cyuoudaigaku.imamiyakenjiダウンロード


畜産・大パニック阻止学習会開催報告20080726ダウンロード

畜産・大パニック阻止学習会開催報告20080726ダウンロード

畜産大パニック阻止学習会の報告
2008年7月26日


 食の安全や環境保全に熱心な19氏が中心になって呼びかけた標記学習会が2008年7月26日に東京都内で開催されました。
学習会は若狭良治コープ低公害車開発元代表取締役の司会、進行で開始され、冒頭、前国立市長の上原公子さんが「この学習会は飼料の度重なる記録的な暴騰により廃業が続出している畜産・酪農生産者の苦悩を正確に理解し、事態の正しい解決に向け、生・消が協同できる行動を追求する為に開催する。」と挨拶されました。
先ず全国養鶏生産者会議の石澤会長から「『鶏卵は物価の優等生はもう終わりにして』とのキャンペーンを有楽町で実施し、消費者に理解を呼びかけた。大手の養鶏商社からも同感との声が上がっている。青森県でも今年度、飼料米を200ha作付している。多収性飼料米の増産を大いに期待するが、今後は減反水田での作付面積をめぐって米粉との戦いが予想される」などの報告がされました。
次いで畜産農民全国協議会の森島会長から「既に投資した農家は止めたくても止められない。自殺者が出ている。養豚では生産頭数を増やすにも借金がかさむ、このような学習会は次に繋がる。」との報告がされました。
酪農生産者では、千葉県長生地域畜産振興協議会の中村会長から「1986年のプラザ合意以後、自給飼料主体の酪農は採算割れする事態となった。生産者乳価が若干上がったが、小売店によっては成分無調整牛乳が不足し、加工乳のみ陳列されているところも出てきている。この現状を放置しておくと大パニックになる。」との報告がされました。
日本鶏卵生産者協会の菊地常務からは「飼料価格は、昨年の3万/tが5.5万/tに上昇し、シカゴ先物相場の動きからしてこの10月に一層上昇する。上昇分を全額補填するとほぼ4,000億円の財源が必要となる。飼料米は2年前から稲作農家と連携して国内生産を追求してきた。今年の作付は全国で1600haに達し、耕畜連携による循環型地域農業の推進に貢献してきている。」との報告がされました。

生産者団体からの報告を受け、全国消費者団体連絡会の蓮尾隆子運営委員は、「消費者は、生産者の実情を理解すると行動する。生消が協同して畜産大パニックを未然に防ぐ運動を盛り上げたい。かつて第二次石油危機時での飼料代大暴騰時に生産者の価格引き下げ運動を消費者が支援した経験がある。今は国産を消費者が強く選択する時代、生産者がSOSを発信すれば、消費者は黙ってはいない、行動する。」旨報告しました。

東京農業大学畜産マネジメント研究室の信岡誠治先生が「超多収性飼料米こそ畜産大パニック阻止の切り札」と題して講演しました。
「超多収性米の代表品種”籾ロマン”は昨年、慣行栽培で10a収1,016kgを達成した。今年は鶏糞発酵堆肥を10a当4t投入し、殺虫・殺菌農薬不使用、除草剤1回散布だけで収量増を追求している。4年前から飼料米の超多収品種の本格研究を開始し、農水省に協力を要請したが門前払いされた。その姿勢は今も同じで飼料米の種子の増殖にも関与していない。タイ米の品種「タカナリ」は蛋白含量10%で10a収1,275kg(籾)、玄米でも1,023kgを達成している。稲の実が1t獲れると稲藁も1t獲れるので、合わせて10a収2tとなり、飼料自給率向上への大きな貢献となる。現下の飼料高では両方で 10a当10万を超える収入となる。*超多収品種の特性を確実に引き出す施肥のポイントは窒素分10a当28kg投入にあり、発酵堆肥の10a当3t以上の投入が最も好ましい。超多収飼料米栽培を普及していく上でこの施肥の基本が主食米の生産者には受け入れられないのが問題である。主食米の生産者は食味優先の栽培慣習を簡単には捨てきれないので超多収飼料米のローコスト肥培管理技術を稲作生産者に正確に理解して頂く努力が超多収飼料米を普及して行く上で重要となる。」

次いで「穀物先物市場への投機禁止は可能だ!」のテーマで今宮謙二先生が講演されました。  「世界の三重苦―景気後退・金融混乱・物価高騰―をもたらした犯人は投機マネーだ。
投機マネーが世界を大混乱させた出来事は3回ある。1回目が1929年の世界大恐慌、2回目は1974~75年にかけてのスタグフレーション(G7サミット第1回が’75年に開催された)、今回が3回目で巨額なリスクに対応できない市場原理至上主義の矛盾を露呈した。サブプライム危機がそのあらわれで企業破綻・金融の弱体化・市場混乱・モラル低下をもたらした。
その背景には世界的低金利による過剰マネーと多様な金融商品の存在があり、”金融危機でも投機マネーが縮小せず”と言う新しい特徴が出現した。その結果投機マネーが金融市場から商品市場へ進出して、USコーンの価格が実需ベース価格のほぼ2倍になっている(‘08通商白書)といった事態が頻繁に起こっている。
投機マネーを規制する実効策は投機助長の融資規制、投機利益の課税、市場の透明化、タックスヘイブン規制、トービン税、穀物・原油などの金融商品化規制、為替管理強化を国際協力で実施すれば効果が現出する。
借金依存で儲け追求むき出しの市場参入という投機資金の決定的もろさと社会不安の激化が世界中で投機マネー反対の市民世論を高揚させている。
そのうねりが投機規制を実施させる最大の根拠となる。
1932年の大恐慌直後に国民の怒りを引き出して政府に”ニューディール政策”を採用させた米国ペコラ委員会の教訓を活かし、既に仏、独の政府が動き出し、ベルギーでは投機規正法が可決され、英国も傾いていてEU全体に波及しつつある。
日本でも、畜産大パニック阻止の呼びかけ文のように生産者と消費者が一体となって投機規制を要求する国民運動が政府を動かす原動力となる。」
と言う趣旨のご講演で私たちの運動に大きな確信を与えてくれました。

全体討論では市場原理至上主義の矛盾を制御するルールを確立する事が食糧への投機を禁止する基本である事を今宮先生が指摘されました。
又、下山保首都圏コープ事業連合初代理事長は飼料米の生産拡大中心に取り組めば生協や消費者団体からの支持は広がるが生消協同で農水交渉を実施するなら要請事項の整理が必要となる旨指摘されました。
さらに清水鳩子主婦連合会参与は食糧自給率向上は大部分の消費者が賛同するテーマで、その立場に立った生産者の実力行使を消費者は応援する。畜産・大パニック阻止に向け、消費者団体に向けた切り札を鮮明にした資料など情報提供が必要となる。
上原公子さんは畜産パニックになった原因を正確に分析すると飼料自給率向上の緊急性に行き着く。米国の食糧政策への依存度を早急に低下させる政策転換が不可欠となる。そのために飼料米生産拡大への正当な予算措置を要求し、消費者が支持できるデーターの積み上げを急ぐ必要がある旨結論的な発言をされました。
同時に蓮尾隆子さんも農水省から飼料米政策を正確に聞き出すべきとの発言で時間超過となり、総合司会の若狭良治さんが閉会を宣言して終了しました。(文書作成 遠藤和生)

中央大学名誉教授 今宮健二 氏講演概要

20080726.cyuoudaigaku.imamiyakenjiダウンロード


●この学習会を契機にして、2008年11月に下記の2回目となる「第1回シンポジウム」の開催を目指して実行委員会が結成された。
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【2008年度】 開催準備情報・開催要領・開催挨拶

第1回 超多収飼料米が畜産・大パニックを防ぐ”シンポジウム
日 時 2008年11月28日(金)午後1時半~5時

場 所 エデュカス東京 千代田区二番町12-1
    JR四谷駅・市ヶ谷駅からどちらも徒歩7分、03(5210)3511
主 催 畜産・大パニック阻止実行委員会 共同代表:上原公子、清水鳩子
プログラム
1、飼料米生産を支援している生協からの報告
  生活クラブ事業連合生協連合会(庄内みどり農協)
  パルシステム生協連合会
  東都生活協同組合
  コープとうきょう(コープネット事業連合) *コープとうきょうは文書での報告。
2、特別報告、「超多収飼料米が日本の畜産と水田農業を救う」
  東京農業大学農学部畜産マネジメント研究室、信岡誠治博士
3、シンポジウムと全体討論
 パネラー
 ・畜産・酪農生産者⇒全国養鶏経営者会議、石澤直志会長及び畜産農民全国協議会代表
 ・超多収飼料米を耕畜連携で生産している稲作生産者⇒庄内みどり農協の飼料米生産指導責任者
 ・消費者団体代表⇒全国消費者団体連絡会、蓮尾隆子運営委員
 ・飼料米生産支援の生協代表⇒生活クラブ事業連合生協連合会、加藤好一会長
 ・超多収飼料米の実践的研究者⇒東京農業大学畜産マネジメント研究室、信岡誠治博士
 ・コーディネーター⇒自然エネルギー研究センター、若狭良治 取締役・東京支所長

代表挨拶 畜産・大パニック阻止実行委員会 共同代表:上原公子

 皆様こんにちは。まだ金曜日ですが、昼間からこんなに大勢お集まりいただきありがとうございます。受付でみましたら、遠くは秋田、山形、岩手からもおいでいただきありがとうございました。
 共同代表のひとりであります。上原公子と申します。
 ちょっとは賢い消費者のひとり、30年間、生活クラブで活動して参りましたので、少しは賢いと思い暮らしてきましたが、この間次々と食料の問題が起こってまいりました。
 餃子事件続いてバターが生協やスーパーから消える、このことで何がわかったかといいますと、原油高騰により、各生産者は第一次産業の人だけでなく、いろいろな生産者、あらゆる活動している人たちが苦労しているのがわかってきましたが、餃子事件やバターが消えるのでわかったのは、実はもう生産者が行くところがないほどに追い詰められ、消費者はどこで信用してどこで買ったらよいか判らないという国家安全保障の崩壊ということです。
 日本の食糧自給率は40%と言われてきましたが、このように深く他国に依存しながら我々の暮らしを成り立たせて命の原点を確保するのが難しいことがわかったわけです。
そこで畜産農家の方たちがやっていけないというのを聞きまして、去る7月26日、第1回目の生産者の皆さんにきていただいて学習会「畜産大パニック阻止学習会」を開きました。
 さらにびっくりしましたが、私自身は農家との連携があり状況を少しはわかっているつもりでいましたが、畜産業界というところがよくわからなかった。
 実にいろいろな問題を抱えているということと、一番ショックだったのは畜産と農業が連携していないということです。
 飼料のかなりの部分が輸入されているとしても、少しは地場の農地で作られていると思っていました。
 しかし連携されていないということは、まさに今要求されている環境問題の循環型というところが断ち切られたままこういう状況があったのだということが私にとって大きな問題として浮かび上がってきました。
 テレビでも報道されましたが、日本の今の現状は消費者と生産者が断ち切られ、生産者同士も実は地域の中で断ち切られ、重要な食料という問題がアメリカの世界の食糧占領といいますか国家戦略のモデルケースとして日本の農政がそういう状況におかれてきている結果であったということです。
 これはしっかりと根本的問題について考えなければいけないチャンスがきたと思っています。

 本日は消費者そして生産者、たぶんこんな形で一同に会してお話をするのは初めてと思いますが、われわれの生物として人間の命を守るため、基本的原則論としては、自給ということが経済的に自立した国家の原則というのは頭でわかっていましたが、目先の解決だけでなく、きちんと解決するために消費者も考え、生産者も考えていくという輪を作って今後大きく農政を変えていく突破口にしたいと考えています。
すでに、生協のみなさん中心に生産者と流通と消費者が結びついていろいろな試みをされています。
 水田をなくさない。
 日本の気候風土にあった水田をつぶさずに、飼料米を育てながら畜産をいかし農業も生かしていく循環型の試みがされているわけですが、きょうは信岡先生から基調報告がありますが、それに大きな希望をもたらす超がつく多収飼料米が現にあるということで、これを使えば水田を生かしながら循環型農業が可能であるし、今まで畜産業者が依存しなければいけなかった外国からの飼料もかなりの部分賄われていく希望ある提案もあるかと思います。
 そういうことを通じながら私達は実質的問題として政府にも提案していくという今後の問題につなげていきたいと思っています。
 ここで議論されていくことを積み上げながら、次はできれば国会議員も参加して国会議論にしていただきたいと思いますが、非常に希望ある会議になると思います。
 遠いところからまたお忙しいなかお集まりいただきましたことに実行委員会一同感謝申し上げまして、実りある会になりますよう心から祈っています。
 本日はありがとうございました。

20081128上原公子(まさこ)挨拶ダウンロード

20081128生活クラブ活動報告ダウンロード

このシンポジウムの全体討論で次のパネラーの皆さんの司会を行った若狹良治が、自然エネルギー研究センターとして事務局を受け持っているDME自動車普及推進委員会の事務局長として日刊自動車新聞の月1回の割合で巻末の1頁に連載をしている「自動車の燃料と車種の選択と今後の見通し~食糧自給率の向上とバイオマスエネルギー~」に排ガス対策としての燃料を推進する立場から、このシンポジウムを開催した一員とひて、農業の大切さ、日本という国にとって重要な役割を持っているコメつくりの重要性を訴えました。

 ・畜産・酪農生産者⇒全国養鶏経営者会議、石澤直志会長及び畜産農民全国協議会代表
 ・超多収飼料米を耕畜連携で生産している稲作生産者⇒庄内みどり農協の飼料米生産指導責任者
 ・消費者団体代表⇒全国消費者団体連絡会、蓮尾隆子運営委員
 ・飼料米生産支援の生協代表⇒生活クラブ事業連合生協連合会、加藤好一会長
 ・超多収飼料米の実践的研究者⇒東京農業大学畜産マネジメント研究室、信岡誠治博士
 ・コーディネーター⇒自然エネルギー研究センター、若狭良治 取締役・東京支所長

20081128超多収穫米が畜産・大パニックを防ぐシンポジウム車笛記事ダウンロード

食糧危機とバイオマスエネルギー 若狭レポート
日刊自動車新聞2009年1月10日

2009年1月10日(土)日刊自動車新聞 「車笛」エッセイ元原稿ダウンロード

20070224_日刊自動車新聞_車笛食糧危機とエネルギーダウンロード


● この第2回目の学習会として実施された第1回シンポジウムの後、任意団体として「超多収穫米普及連絡会」が結成されました。 


代表委員として、上原公子、清水鳩子、石澤直士が就任した。
食べもの通信 2009年3月号 で飼料用米の普及で食料自給率を向上させようと特集が組まれました。
特集目次
 ●食料自給率アップ、待ったなし~超多収飼料用(エサ)米で、自給率向上に一役
 食べもの通信 編集部  蓮尾 隆子
 ●食料安全保障としての食料自給率向上に向けて ~食料自給率40%の状況に何をすべきか
 農林水産省 大臣官房・食料安全保障課長 末松 広行
 ●減反水田に超多収飼料米を作ろう
 東京農業大学 農学部畜産学科    畜産マネジメント研究室 准教授  信岡 誠治
 ●日本のお米育ちの卵、豚肉、牛肉   首都圏の生協が次々実践、好評です
 食べもの通信 編集部  蓮尾 隆子

tabemono_tushin200903Aダウンロード

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【2009年度】
2009年(平成21年)12月14日(月)13時~17時
第2回 シンポジウム2009「飼料用米の技術開発・最前線」~飼料用米の利用拡大に向けて~
主催:農林水産省農林水産技術会議事務局
   独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構
協力:超多収穫米普及連絡会
会場:江東区文化センター

20100312.No2FR.MeetingPR.Reportダウンロード

通算第2回シンポジウム開催
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【2010年度】
2011年(平成22年)1月27日(木)11:00~17:00
第3回 飼料用米利活用シンポジウム
    超多収穫飼料米が日本の畜産と水田農業を変える
会場:ホテルグリーンプラザ大阪 アネックス7F
主催:日本草地畜産種子協会
協力:超多収穫米普及連絡会
後援:農林水産

お米育ちの“卵・牛乳・鶏・豚・牛肉・加工肉・ケーキが勢揃い
~飼料米を活かす日本型循環畜産実践交流の集い~

お米育ちの“、卵、牛乳、鶏・豚・牛肉、加工肉、ケーキ” が勢揃い
~飼料米を活かす日本型循環畜産実践交流の集い~

・とき 2010年3月12日〈金〉午前10時~午後5時半
・ところ 江東区文化センターホール
(地下鉄東西線東陽町駅徒歩5分、東京都江東区東 陽4-11-3 TEL03-3644-8111 )

お米育ちの「鶏卵、牛乳、鶏・豚・牛肉、やハム・ソーセージ」を試食し、飼料米を活かす日本型循環畜産・酪農の実践報告を聞き、その素晴らしさを語り合う集いです。
【催しの内容】

第1部:11時~13時
お米育ちの卵、鶏・豚・牛肉、牛乳の試食・試飲、飼料米の生産・給餌・普及活動を紹介する展示を行ないます。
▶試食コーナーでは米国産トウモロコシ育ちの畜産酪農製品との食味比べもあります。
▶超多収飼料米の生産活動紹介展示 △飼料米を給餌する畜産・酪農生産活動紹介展示
▶稲作農家と畜産農家が協同する循環型地域農業の紹介
▶飼料米育ちの家畜が健康に育つ訳とその家畜の肉や卵が健康志向な訳を説明する展示
(籾米給餌の優位性やオレイン酸やグルタミン成分の増加特性等の説明)
▶飼料米育ちの畜産酪農製品を普及する消費者の活動紹介展示
▶生協が進めている日本型循環畜産支援の活動紹介展示

第2部:13時~17時半
飼料米を活かす日本型循環畜産確立を目指して生産者、消費者、研究者が報告し、会場の参加者も含めた討論を行
います。
・主催者挨拶 超多収穫米普及連絡会共同代表、日本草地畜産種子協会
・基調講演 「飼料米を活かす日本型循環畜産が日本の農業を再生させる」
東京農業大学農学部 信岡 誠治 准教授
(13:50~)
・実践報告 超多収飼料米生産者 矢野 匡則 氏 (香川県観音寺市)
飼料米給餌養鶏生産者 鈴木 明久 氏 (大分県日出町)
飼料米配合飼料メーカー 多田井 友揮 氏 (昭和産業)
日本型循環畜産支援生協
(15:05~)
パネル討論 コーディネーター:NHK解説委員 合瀬 宏毅 氏 (予定)
パネラー 全国消費者団体連絡会代表 (予定、交渉中)
日本鶏卵生産者協会 緒方 忠浩会長代理
全国養豚生産者協議会代表ないしは超多収飼料米生産者代表
東京農業大学農学部 信岡 誠治 准教授
農林水産省 山田 正彦 副大臣(予定)
農研機構研究者ないしは農水省生産局代表
17:20 閉会挨拶
農林水産省 山田 正彦 副大臣(予定)
17:30 閉会

第3回シンポジウム開催

超多収穫米普及連絡会 会則

(名称)
第1条 この会は、超多収穫米普及連絡会と称する。
(目的)
第2条 この会は、畜産生産者と稲作生産者及び消費者が協同して超多収穫米の減反水田での作付の広がりを支援すると共に飼料米育ちの畜産酪農製品及び超多収穫米の普及活動を行うことを目的とする。
(活動)
第3条 この会は、前条の目的を達成するため、次の活動を行う。
(1)超多収穫米の低経費生産実現のために循環型稲作生産の研究と普及活動
(2)循環型栽培による超多収穫米が環境保全と安全性・品質でも優位性があることの実証と普及の活動
(3)超多収穫米の循環型生産及び畜産生産者と稲作生産者と消費者が協同した普及活動を交流する取り組み
(会員)
第4条 この会の会員は、会の目的に賛同し、会の活動又は運営に協力できる畜産生産者、稲作生産者、消費者を中心に構成する。
(役員)
第5条    この会の役員は、次のとおりとする。
(1) 代表、副代表、運営委員、事務局、監査役を置く。
(2) 役員の任務は、次のとおりとする。
ア 代表は、この会を代表し、会務を統括する。
   イ 副代表は、代表を補佐し、代表に事故あるときはその職務を代行する。
   ウ 運営委員は、会員の要望や声を集約して会の運営に活かす役割及び経理実務を分担する。  
   エ 事務局は、この会の庶務を行う。
オ 監査役は、この会の活動、運営及び経理状況を監査し、その結果を会員に報告しなければならない。
(3) 役員等の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
(運営)
第6条 この会の活動及び運営に関する事項は、会員の総意を基に決定する。
(活動費)
第7条 この会の活動推進に必要な経費は、会の活動に賛同する団体や個人からの協賛金及び助成金で充当する。
(事務所)
第8条 この会の事務所は、東京都に置く。
 
附 則
(1)この会則は、 2011年1月1日から実施する。

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2011年度 2012年3月14日(水) 11:00~16:30
第4回 飼料用米利活用シンポジウム
飼料用米の利活用拡大で日本の農畜産業の明日を創ろう!
会場:東京都新宿区牛込箪笥区民ホール
主催:全国飼料増産協議会、(社)日本草地畜産種子協会
協力:超多収穫米普及連絡会
後援:農林水産省
一般社団法人日本草地畜産種子協会


【開催報告集】

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● 資料目次・開催要領

20120326-01sympo飼料用米利活用シンポジウム開催要領ダウンロード

講演1 ●  飼料用米の生産利用をめぐる情報と原発事故への対応について 

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講演2 ●  放射性物質汚染後に食品安全のために取り組んだこと 

事例発表1 飼料用米生産事例 ●  多収穫栽培と品種混入問題を解決し耕畜連携を進める取組み 

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事例発表1 飼料用米利用事例 ●  豚のエサからソーセージまで ~ 自給へのこだわり ~ 

20120326-05sympo豚のエサからソーセージまで_自給へのこだわりダウンロード

事例発表3 飼料用米利用畜産物の普及事例 ●  飼料用米利用畜産物の普及拡大への取り組み 

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【2012年度】その1    その2:2013年3月23日 (土)11:00~17:30)
2013年2月26日 (火) 13:00~16:45 
第5回 平成24年度 飼料用米シンポジウム
   ~耕畜消の連携による利活用の拡大をめざして~

会場:九州大学西新プラザ 福岡市早良区西新2-16-23
主催:全国飼料増産協議会、社団法人日本草地畜産種子協会
共催:農林水産省 九州農政局
全国各地域で飼料用米の生産・利用・消費に先進的に取り組んでおられる方々の経験や知見に基づく関係者の交流促進とともに、広く情報を共有していただくためにシンポジウムを開催いたします。
●平成24年度シンポジウム(平成25年2月26日開催)平成24年度飼料用米利活用シンポジウムの概要です。
当日配布資料は、以下によりダウンロードできます。

20130323_飼料用米を活かす日本型循環畜産交流推進集会資料集冊子ダウンロード

【資料目次・開催要領】

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【基調講演】
  「飼料用米の拡大・定着の方策-現場にみる耕畜消の連携-」
      東京農業大学 准教授 信岡誠治 氏

20130226-sympo02B飼料用米の拡大・定着の方策_現場にみる耕畜消の連携信岡ダウンロード

【事例発表1】~ 行政による仲介事例
 「築上町における耕畜連携活動」 
      築上町 産業課課長補 佐田村啓二 氏

20130226行政の取組築上町における耕畜連携活動ダウンロード

【事例発表2】~ 消費者団体による仲介事例
 「生協としての飼料用米利用畜産物開発」 
      生活協同組合連合会グリーンコープ連合 常務理事 河嶋敏秀 氏

20130226生協としての飼料用米利用畜産物開発ダウンロード

【事例発表3】~ 生産者団体による仲介事例
 「飼料用米の低コスト生産とまい米牛ブランド化」 
      いずも農業協同組合 常務理事 岡田達文 氏

20130226飼料用米の低コスト生産とまい米牛ブランド化ダウンロード

【総合討論】「耕畜の連携による利活用の拡大を目指して」
      座長 東京農業大学 准教授 信岡誠治 氏

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【2012年度】その2   (その1:2013年2月26日(火) 13:00~16:45) 
開催報告 2013年3月23日 (土)11:00~17:30)
第6回 飼料用米を活かす日本型循環畜産推進交流集会

会場:東京大学 弥生講堂一条ホール
主催:超多収穫米普及連絡会
協賛:日本生活協同組合連合会、パルシステム生活協同組合連合会、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会、東都生活協同組合、日本鶏卵生産者協会、(社)日本草地畜産種子協会
協力:東京大学消費生活協同組合

20130323_飼料用米普及集会案内ダウンロード

飼料米を活かす日本型循環畜産普及推進交流集会 報告                            
2013年3月23日於東京大学弥生講堂

・午前11時からの飼料米育ち畜産品の試食・試飲会では用意した100名分が1時間で消化され、飼料米育ち畜産品のスッきりした美味しさを実感、とりわけ黄金育ち別海牛乳の美味しさが評判になった。参加者は展示資料や紹介パンフを見て飼料米の生産・給餌が消費者の支持で広がっている事実を知ってその畜産産品の美味しさの訳を理解されたようだ。

・12時45分、若狭良治氏(クリーンエネルギーフォーラム理事)の総合司会で開始された。

飼料米普及連の石澤直士共同代表
世界的な食料飢餓が恒常化する状況下で食料の海外依存から脱却する上でも飼料米の遊休水田での生産拡大の意義は大きい、5年前から本格的に始まった飼料米の生産と給餌は全国各地に広がり、地域経済の振興にも大きく貢献している。その発展を持続させる為には飼料米の多収穫で低経費の生産・流通を実現させる施策の推進が不可欠だ
との趣旨で主催者挨拶。

続いて

農水省草地整備推進室長 小倉弘明 様
飼料米の生産は昨年度、全国でほぼ3万5千ha、収量18万Tに広がっているが海外からの飼料用コーン総量の1.5%程度なので、今年度は飼料米生産コスト引き下げ施策も合わせて年間280億円の予算を投入していく、超多収米普及連の活動は頼もしい。
と挨拶された。

実践報告の要旨

・パルシスステム生協連高橋産直推進部長
:耕蓄連携会議を東北中心に全国6県の生産者組織と全農飼料部門と連携して結成し、飼料米の生産と給餌を推進、消費者の強い支持で普及が進展している。今後は国の助成制度への依存なしで飼料米の生産と給餌を持続できる多収穫で低経費な飼料米生産システムを各地域の生産者と連携して追求していく。

・東都生協、近藤食品G。Mg
:非GMコーンを全量飼料米で代替したJAひたち野・穂の香卵普及を重点的に推進、組合員の理解と支持の広がりで豚肉、鶏肉、加工肉に飼料米育ちが広がってきた。今後も持続的、安定的な生産体制確保を追求して一層の飼料米育ち畜産品を普及していく。

・JA庄内みどり営農販売部 那須耕司氏 ・(㈱)平田牧場 池原 彰 氏
:2004年に飼料米Pを耕蓄生産者と生活クラブ生協連に自治体と山形大学が連携して結成、´12年度の飼料米生産量は1,423t(生産面積261ha)。
生協組合員の食味評価で飼料米10%給餌豚が総合で72.3%が良好との評価をベースに普及が飛躍的に広がる。
飼料米の配合率は前期・後期で10%~15%。世界的な穀物高騰で'13年1月のコーン相場はt当35,720円に上がり、飼料米のT当32,000円の方が安くなってきている。

円安基調とも重なって今後、飼料米の生産と普及が益々重要になってくる。そのためにも飼料米の多収穫・低経費生産体系の確立を追求していく。

・石岡市経済部農政課 島田主幹 ・内外食品(㈱) 木村顧問
:食鳥養鶏事業者の要請を受け、’09年より内外食品(㈱)が希望する有機栽培飼料米が可能な稲作農家と協力、東京農大に学び、産学官連携による耕蓄資源循環モデル実証Pを結成して飼料米生産を推進している。’`12年度より生産農家の意欲を増進できる収量当助成制度(t当15,000円を助成)を創設、地域の平均収量を上回る生産者や直播栽培等低経費生産を実行している生産者を支援している。
有機飼料米の’12年度作付け面積は11haで発酵鶏糞を10a当り1t投入して10a800kgの収量を目標に実行、つくば米鶏への給餌はコーンの全量を有機飼料米に代替している。

・日本生協連 会員支援本部 内山 和夫 氏
:日生協が1993年より実施している「全国生協産直調査」の中で’12年度の飼料米の生産支援全国調査を本格実施、その結果’09年度では全国の飼料米作付面積の65%を生協が提携している生産者が占有していた実績や’11年度では生産支援面積が4,599haに倍増して生協による飼料米生産支援が全国の飼料米作付け増加のけん引役を果たしてきた実績が明らかになった。'12年度飼料米の作付け支援面積は前年比169%増の7,717haに伸長(作付け占有率は23%))。給餌蓄種は鶏卵51%、豚肉24%、食鶏・肉牛2%搾乳牛1%で、給餌方法では鶏卵で籾米が多いが豚、食鶏では玄米が多数で改善の余地がある。飼料米の生産と利用を広げていく上で消費者と生産者の連携が重要な役割を果たし、飼料米育ち畜産品の利用と普及が遊休水田の有効活用で食料自給率向
上とCo2削減に寄与し、地域経済振興への貢献も大きいので耕畜消の連携ネットワーク形成に生協が積極的に貢献して
行く活動が今後とも強く要請されていると認識している。

記念講演要旨
東京大学大学院 農学国際専攻 鈴木 宣弘 教授

TPPの本質は、米国巨大企業中心の1%の利益のために99%を犠牲にする協定に他ならない。米国の言う「競争条件の平準化」とは国民皆保険制度、様々な安全基準、共済、生協、農協等を企業活動の国境を越える活動の非関税障壁を断定してそれらを撤廃させる切り札がISD条項である。米国の保険会社が日本の皆保険制度が参入障壁だと言って提訴すれば制度の撤廃に追い込まれる。日本の軽車両減税制度も同様に撤廃される。従って「1.5%の一次産業を守る為に98.5%が犠牲になる」(農業対国益)はとんでもない間違い。日本が10カ国のTPPに参加しても日本のGDPは0.54%2.7兆円しか増えず、日中韓FTAの0.7%より少ない。失うものが最大で、得るものが最小の史上最悪の選択肢である。飼料米は日本と世界の食糧安全保障に貢献し、循環型畜産と酪農の確立による窒素収支の改善にとってきわめて重要なキーとなる。協同組合間提携によって農業が地域コミュニティの基盤を形成する要となり、食料が身近に確保できる価値を共有し、地域住民と農民が支えあうプロジェクトを創造できる。スイスの例では生協事業高はスイス食品流通全体のおよそ60%を占め、そのスイスでのキーワードは[ナチュラル、オーガニック、アニマル・ウェルフェアー、バイオダイバーシティ(生物多様性)そして景観]。できたものは本物で安全でおいしい。その値段が当然だと国民が理解している。⇒地域住民と農民の協同プロジェクトの格好の生きたモデルとなる。

・総合討論:東京農大農学部信岡准教授が座長で進行、パネラーの発言要旨を記述

・主婦連山根会長:食料自給率低下は国民の生命が脅かされることに他ならず、食の安全性からも素性確かな農産物の生産拡大を強く要望する。飼料米は食料自給率向上に直結し、循環型の地域農業を活発にするので一層の広がりを期待し
たい。試食も美味しかったので普及を大きく広げるために一般の消費者にも飼料米の大切さがよく分かるようメディアも使って啓蒙して欲しい。安倍首相のTPP交渉参加表明は目先のことしか考えていない。食の安全確保を脅かすと懸念する。

・農水省小倉室長:戸別所得補償制度の飼料米生産助成に収量払制度導入の必要性は認識している。飼料米助成10a当8万に稲わらの飼料化助成を加算すると主食米の販売額に匹敵する実例もある。
・パルシステム生協連高橋部長:飼料米育ち畜産品の学校給食への導入を追求すべきだし、追求したい。
・JA庄内みどり那須氏:食料自給率向上モデル事業では飼料米で庄内地域平均収量の80%に届かない収量実績の生産者には助成金を支給しない仕組となっている。
・石岡市農政課島田主幹:管内の飼料米生産者30名中で’12年度で増収した生産者は4名、直播栽培等コスト低減活動への助成支給対象者は2名が実績でなっている。

信岡座長:非GMコーンが飢餓と円安が重なって25%高で推移しているので、飼料米がt当4万でも割高感がなく、利用普及の条件は広がってきている。

閉会挨拶、生活クラブ事業連合生協連加藤会長が「本日の飼料米普及推進試食展示と実践報告及び総合討論により戸別所得補償制度がバラマキでなく地域経済と地域コミュニティの活性化に大きく寄与している実態がリアルにご理解いただけたのではと確信する。メディアの方々は本日の内容を正確に報道して欲しい。本日の成果を戸別所得補償制度の収量当助成導入と共に法制化実現に連動しつつ飼料米の多収と低経費生産への前進を推進して行きましょう。」と締め括って終了しました。

その後の飼料米育ち畜産品を食材とした懇親会には47名が参加し和やかに懇親・交流が行われました。

以上です。

農林水産省 草地整備推進室長 小倉弘明 様

20130323飼料をめぐる情勢(飼料用米関連)ダウンロード

パルシスステム生協連 産直推進部長 高橋 様

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JA庄内みどり営農販売部 那須耕司氏 ・(㈱)平田牧場 池原 彰 氏

実践報告 JA庄内みどり(那須)ダウンロード

実践報告 飼料米を給餌した「こめ育ち豚」の評価(平田牧場池原)ダウンロード

石岡市経済部農政課 島田主幹

実践報告 畜産農業連携地産地消(石岡市農政課島田)ダウンロード

内外食品(株) 顧問 木村友二郎 様

実践報告 畜産農業連携地産地消(内外食品株式会社木村)ダウンロード

調査報告 全国生協の飼料米の取り組みについて(日本生協連 内山和夫 様)

調査報告 全国生協の飼料米の取り組みについて(日生協内山)ダウンロード

20130323飼料用米を活かす日本型循環畜産交流推進集会鈴木宣弘記念講演ダウンロード

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【2013年度】
開催報告 2014年3月22日(土)11時~17時
第7回 飼料用米を活かす日本型循環畜産推進交流集会
 第7回 西武環境保全活動助成金事業
会場:東京都八王子労政会館(東京都八王子市明神町3-5-1) 
主催:超多収穫米普及連絡会
協賛:全国農業協同組合連合会、パルシステム生活協同組合連合会、公益社団法人中央畜産会、一般社団法人日本鶏卵生産者協会、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会
協力:八王子市民のがっこう/まなび・つなぐ広場   

案内チラシ特別版_20140213印刷最終校正版_PPT2010版ダウンロード

20140322会場配布資料集ダウンロード

会場内案内掲示

20140322飼料用米推進交流集会 掲示用データダウンロード


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2014年度 開催報告(2015年3月シンポジウム)
法人化 第1回(通算第8回)  飼料用米を活かす日本型循環畜産推進交流集会
               ~ 飼料用米普及のためのンポジウム 2015 ~ 
日時:2015年3月20日(金)11時~17時
会場;東京大学 弥生キャンパス 農学1号館8番教室
主催:一般社団法人 日本資料用米振興協会 JFRA ジャフラ
詳細:
パネル展示 (3階/農経会議室)11時~12時30分
シンポジウム (農学第1号館 2階/8番教室) 12時55分~17時
懇親会(意見交流会)
会場:東京大学消費生活協同組合農学部食堂 17時30分~(3,500円)

案内ポスター・参加申込書

20150320シンポジウムー案内ポスターダウンロード


開催詳細内容
主催 一般社団法人 日本飼料用米振興協会
後援 農林水産省
協賛:全国農業協同組合連合会、日本生活協同組合連合会、東都生活協同組合、生活協同組合連合会コープネット事業連合、中野区消費者団体連絡会、 生活クラブ事業連合生活協同組合連合会、特定非営利活動法人未来舎、木徳神糧株式会社、公益社団法人中央畜産会、一般社団法人日本鶏卵生産者協会

主題 食料自給率向上による食料安全保障の確立を目指そう
   飼料用米の大量増産と日本型循環構築連携の事例に学ぼう

参加(出席)費 無料参加(出席)者 170名
   生産者団体(農家、酪農、養鶏卵)、飼料事業者、流通事業者、消費者団体等、研究者、学生、主婦実施進行次第

12:30 開場
12:55 開会
総合司会  若狭良治 (特定非営利活動法人 未来舎副理事長) 日本飼料用米振興協会 運営委員
挨  拶 一般社団法人 日本飼料用米振興協会 代表理事 海老澤惠子 (10分)

2015jfra_sympo_開会あいさつダウンロード

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基調講演 「飼料用米の利用推進について」  (25分)
  農林水産省生産局畜産部畜産振興課草地整備推進室室長 田中誠也

農林水産省生産局畜産部畜産振興課草地整備推進室ダウンロード

「米の需要拡大に向けた品種開発」  (25分)
全国農業協同組合連合会 営農販売企画部 飼料用米対策課課長 遠藤 雄士
「飼料用米の生産から消費までの流通に携わって~課題と解決の方向~」 (25分)

全国農業協同組合連合会 営農販売企画部 飼料用米対策課ダウンロード


  木徳神糧株式会グループセールス事業部部長 木村友二郎 日本飼料用米振興協会運営委員
別講演 「食の自給率向上と安全保障」
  東京大学大学院 国際環境経済学研究室  鈴木宣弘 教授 (30分) 

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事例報告
「耕畜連携による自給飼料増産の取り組み~水田フル活用を目指して~」 (25分)
有限会社アイデナエンタープライズ/有限会社 高秀牧場 高橋憲二 代表取締役

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「コープネットグループにおける「お米育ち豚」プロジェクトの実践報告」 (25分)
  生活協同組合連合会コープネット事業連合 執行役員 小林新治 政策推進室担当

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コープネット事業連合の案内(ハンドブック)

コープネット事業連合ハンドブックダウンロード



質疑応答(30分)  コーディネーター 東京農業大学農学部畜産学科 信岡誠治 准教授
             日本飼料用米振興協会 運営委員

閉会の挨拶に代えて 生活クラブ事業連合生活協同組合連合会 加藤好一 会長 (15分)
             日本飼料用米振興協会 運営委員

閉会の挨拶に代えて 生活クラブ事業連合生活協同組合連合会 加藤好一ダウンロード